公開日
くらしと経済編集部

くらしと経済編集部

スーツの概念を変える、これまでにない発想

小林
こんにちは。小林美沙希です。
オフィスシーンで一般的に着用するスーツ、近年はその概念が変わってきている様です。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

スーツの概念を変える、これまでにない発想

小林
年々、オフィスファッションのカジュアル化が進んできているように思いますね。

スーツの概念を変える、これまでにない発想

宮里
そうですね。2011年、東日本大震災の際に節電意識の高まりから「スーパークールビズ」が推進されオフィスでの軽装化が浸透したともいわれます。また、新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務の増加で、スーツを着る機会が大幅に減ったこともカジュアル化の流れに拍車をかけたとされています。
こちらをご覧ください。
総務省の調査によると、世帯当たりのスーツへの支出額は、2000年に1万118円だったのに対し、去年は2893円と大きく減少していて、スーツが購入されなくなっている傾向が見て取れます。
紳士服業界を含む国内のアパレル市場は、人口の減少や低価格志向などを背景に縮小が続いています。

小林
紳士服業界は厳しい状況に直面しているんですね。何か打開策はあるのでしょうか。

宮里
はい、従来のアパレル業界にはなかった作業着の機能性とスーツのデザイン性を兼ね揃えた「作業着スーツ」と呼ばれるウェアが登場し、売上を伸ばしています。

小林
「作業着スーツ」ですか!
どのようなウェアか気になります。

スーツの概念を変える、これまでにない発想

宮里
こちらをご覧ください。
「作業着スーツ」は水道工事を手掛ける会社が制服として開発したものです。水道工事に不可欠な撥水性やストレッチ性、耐久性を備え、洗濯機で丸ごと洗えてアイロンをかけなくても型崩れしない生地を独自に開発しました。事業化した後は、インターネット販売を開始し2020年度の売上は、前年比3倍を超える、10億円が見込まれています。

小林
作業着でありスーツにもなるウエアは、ビジネスウェアのカジュアル化の新しい展開ともいえますね。

スーツの概念を変える、これまでにない発想

宮里
そうですね。こうした作業着スーツの好調が刺激になり追随する動きも見られます。
こちらで3社の例をご紹介しましょう。
まず最大手紳士服メーカーでは、作業着のような裾の強度を高めるためダブルステッチを施したり、摩耗に強いナイロン素材を生地に混ぜるなどの工夫をしています。
別のメーカーでは、パジャマとスーツの融合をコンセプトに新しい生活様式に対応したウェア、くつろげてしかもきちんとした雰囲気のある仕事着が開発されました。
3つ目は、アウトドア部門にも展開する作業着専門店が発売した「裏返しにすれば作業着になるスーツ」です。主に作業員が「オフィス訪問や人に会うときのみスーツとして使う」ことを想定しています。こうしたユニークな商品も登場しています。
スーツ離れが進む一方、在宅勤務でもオンライン会議などではジャケットを着るなど、ビジネスの場にふさわしい服装に気を使ったりします。機能性の高い「作業着スーツ」はそうした新しいニーズをタイムリーにとらえた新たな衣料分野といえるかもしれません。

小林
こうした新しい発想が紳士服業界の不振を打開する突破口になるかもしれませんね。
宮里さん、ありがとうございました。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!