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普久原 朝弥

普久原 朝弥

ワォーターズ璃海ジュミル 快足光る未知数のポテンシャルを秘めたスピードスター【羽ばたけ!琉☆球児】(沖縄発 野球応援企画)

日本ウェルネス沖縄高校の快足遊撃手・ワォーターズ璃海(りかい)ジュミル

野球王国沖縄の新たなスターの原石に迫る!シリーズ企画!【羽ばたけ!琉☆球児】

甲子園に出場する学校は母校でなくてもテレビを囲んで応援。
球春到来を告げるプロ野球春季キャンプも毎年県内各地で大盛況。
そんな野球愛溢れるウチナーンチュのみなさん必見!
OKITIVEでは、沖縄県出身のアマチュア野球界の有望選手を紹介する【羽ばたけ!琉☆球児】をシリーズでお届けします。

ワォーターズ璃海ジュミル(日本ウェルネス沖縄高校)
2005年10月14日生/沖縄県那覇市出身
オール上間-石田中学校-沖縄ダイヤモンド-日本ウェルネス沖縄高校
遊撃手・捕手/178㎝・76㎏/右投右打

遠投105mの強肩と50m走6.0秒の俊足を誇る遊撃手。
攻守にわたって足を使ったスピード感のあるプレーが持ち味。

静かな闘志を胸に秘め、臨んだ夏だった。
プロ注目のスピードスター・ワォーターズ璃海ジュミルは回顧する。

高校3年生の球児にとって、聖地を懸けた最後の高校野球沖縄大会決勝。

沖縄尚学高校と日本ウェルネス沖縄高校が激突した。
春のセンバツを経験し2季連続出場を目指す沖縄尚学打線が初回からチャンスメーク。
今大会23イニング連続無失点中だった日本ウェルネスの先発・安里を攻め立て先制。
さらに4回、8回にも小刻みに得点を重ねた。
対する日本ウェルネス打線は、沖縄尚学のエース・東恩納蒼を攻めあぐね得点を奪えず。
結果は3-0で沖縄尚学が優勝を果たした。

相手エース東恩納に完封負けを喫し、悔し涙を流したウェルネス打線で光ったのがワォーターズだった。先制を許して迎えた次の攻撃、1回裏の先頭で打席に入ったワォーターズは東恩納の低めの球をバットに当て三塁線にゴロを打つと自慢の快足を飛ばす。三塁手が定位置より前でボールを捕球しすかさず一塁へ転送するも、序盤からヘッドスライディングで気迫を見せたワォーターズの気持ちが勝りセーフ。内野安打をもぎ取った。

さらに2回表、攻撃の手を緩めない沖尚打線。この回の打席で5番佐野・6番東恩納・7番川満、いずれもワォーターズの守るショートに打球が飛んだがこれも危なげなくさばき、3つのアウトを完成させた。特に川満の打球はショートの頭上を抜けようかという強烈な当たりだったが、ワォーターズはジャンピングキャッチでライナーを捕球。高い身体能力を感じさせるプレーだった。

試合には敗れたものの、攻守にわたって躍動したワォーターズの存在感が光る一幕だった。
アメリカ出身の父と沖縄出身の母を持つ彼は、世代屈指のスピードを誇る内野手としてプロ球団からも注目されている。高校一年生の秋、県高野連が主催する競技会で彼は100m走で2、3年生の先輩勢を抑えて優勝を掴み取った。数カ月前まで中学生だった一年生が県下の高校No.1のスピードを示したのである。

彼の元に届いた調査書は、セ・パあわせて5球団。明日(2023年10月26日)に迫るプロ野球ドラフト会議での指名も現実味を帯びている。プロ志望届を提出し、緊張の面持ちで運命の一日を待つワォーターズに高校野球生活の思い出と今後の目標を聞いてみた―――。

ワォーターズ璃海ジュミル選手 取材時の様子

――今日は宜しくお願いします。璃海選手が野球を始めたきっかけは?

璃海
「お兄ちゃんの影響です。試合を見に行ったりして、自分もやりたくなって小学2年生の頃から野球を始めました。徐々に守備が安定してプレーできるようになってきてから上手くなってきたなと実感してきて野球が楽しくなりました。」

――高校3年間の野球生活を振り返っていかがですか?

璃海
「毎日練習できつい時もあったんですけど、充実した毎日だったと思います。チームメイトと過ごす日々は楽しかったです。特に印象に残っている出来事でいえば、甲子園出場を懸けた最後の夏の県大会決勝で沖縄尚学と対戦出来たことです。夏の大会で皆で優勝するぞということで、毎日毎日引き締まった練習ができて良い思い出になっています。」

――沖縄尚学との決勝戦。意識している事はありましたか?

璃海
「秋季大会では、けっこう大差で負けてしまいましたが、その後の春のチャレンジマッチでリベンジを果たして勝つことが出来ました。そのなかで迎えた夏の県大会決勝だったので、『なんとしてももう一度勝つんだ』『東恩納(沖尚エース)から打つんだ』とみんなで意気込んで臨んでいました。」

ショートの守備につくワォーターズ璃海ジュミル選手

――強い気持ちを持って臨んだ決勝戦。自分のプレーとしての評価は?

璃海
「球場もかなり多くの観客が入っていて、緊張していました。守備の面では思い通りのプレーが出来た実感はありましたが、打撃は…あまりうまくいかなかったです。負けた直後は実感がなくて『あ、(高校野球が)終わったんだな…』って感じでした。」

――やはり対戦相手としての沖縄尚学は特別な存在だった?

璃海
「やっぱり沖縄尚学は、春に甲子園(センバツ)を経験してきているので、秋に比べて違っているなと。強くなってきているなと感じました。ピッチャー陣の球も速くなっていました。球場全体でアウェー感を感じる部分もありました。」

夏の県大会決勝、ヘッドスライディングで内野安打をもぎ取り笑顔のワォーターズ璃海ジュミル選手

――璃海選手はプロ志望届を提出。次のステージを見据える上で課題に感じていることは?

璃海
「ミート率が低いので、バッティングの部分で課題に感じています。プロに行ければ木製バットを扱うことになるので、今は木製バットをしっかり振れるように、打撃練習の中でも取り入れています。」

―――自分の強みをより生かしていく上での取り組みはありますか?

璃海
「スピードを生かした守備を強化したいと思っています。守備練習も結構多く取り組んでいて一つ一つのプレーに安定感をもたせることを意識してエラーを減らせるように精度を高めていけるように鍛えています。」

――プロ志望を決断した気持ちはどこから湧き出てきた?

璃海
「少しずつ注目してもらえるようになって、自分でも行けるかもしれないと思うようになって挑戦してみようと思って、(プロ志望届を)提出しました。」

――璃海選手が目標としている選手像は?

璃海
「福岡ソフトバンクホークスの今宮健太選手です。自分と同じショートの守備で守れて打てる選手なので、自分も攻守でチームに貢献できる選手になりたいと思っています。球際にも強いですし、バッティングも凄いので好きな選手です。」

――もしプロの世界に進めることになればどんな選手になっていきたいですか?

璃海
「プロの世界で通用するか分からないですけどやっぱり『足』を生かしてプレーしていきたいと思っています。盗塁がまだ得意じゃないので、課題を克服して「盗塁王」などを狙っていける選手になれるといいなと思っています。」

⚾ワォーターズ璃海ジュミルの俺を育てた “地元メシ”

璃海
「『通堂』のチャーハン&ラーメンセットが好きです。定番のもやしも好きです。練習終りとかに立ち寄って食べたりしていました。放課後帰りのバスを降りてバス停から近いので、そのまま行ったり、一回家に帰って友達とみんなで集まって食べに行ったり。チャーハンが他のお店よりも美味しくて、ラーメンもこの店にしかない味で美味しいです。」

通堂のチャーハン&ラーメンセット

⚾野球で夢を叶えて“恩返し”

璃海
「監督とお母さんに一番感謝を伝えたいです。特に監督は、コロナ禍で全体練習が自粛となった時期に、監督が自分の家まで来てくれて近くの球場で一対一で守備練習に付き合ってくれたり、とても感謝しています。野球が本当に好きな人で野球に関する事だったらなんでも僕らのためにやってくれる人。お母さんも朝仕事が早い中で、お弁当を作ってくれたり帰って来てもご飯を毎日作ってくれてありがたみを感じています。プロに入って活躍して2人に良い報告が出来るように頑張りたいです。」

――最後に今後の意気込みを聞かせて下さい!

璃海
「プロに入ってから練習するのではなくて、いまが一番大事なので、いま一生懸命頑張って、出遅れることがないように取り組んでいきたいです。沖尚の東恩納投手もプロを志望しているのでプロの舞台で打てるように頑張っていきます。個人的には一軍でプレーをしてファンから愛されるようなプロ野球選手を目指していきます!」

*取材後記*
優しい目をした穏やかな性格の璃海選手。そんな柔らかい表情とスピード感溢れるプレースタイルのギャップに驚かされます!運命のドラフト会議まで残り僅か、沖縄が生んだ世代屈指のスピードスターにどんな未来が待っているのか、ご注目を!

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