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くらしと経済編集部

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観光の新たな方向性 「インフラツーリズム」

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は「インフラツーリズム」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。
よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

観光の新たな方向性 「インフラツーリズム」

後間
「インフラツーリズム」とは耳慣れない言葉ですが、観光に関するお話なのでしょうか?

宮里
はい。まず、「インフラ」とはダムや橋、港など、社会を支える公共施設のことです。
「インフラツーリズム」は、こうした施設を地域の観光資源と位置付けて地域振興につなげる取り組みのことです。

インフラツーリズムの魅力は、こちらのように巨大なインフラ構造物のダイナミックな景観が楽しめること。
施設の役割などを知ることで、子どもはもちろん大人も地域への理解を深めることができ、魅力的な社会見学となること。
さらには観光資源が乏しい地域でも、既存の施設を活かして観光客を呼び込める可能性があることなどが挙げられます。

インフラツーリズムとは

後間
たくさんのメリットがある取り組みなんですね。
では現在日本国内ではどのくらい普及しているのでしょうか?

宮里
インフラツーリズムは日本各地で定着しつつあります。国土交通省によりますと、2022年では全国のインフラツーリズムのツアー件数は400件を超えて、2016年と比べ1.4倍になったということです。

地域別で見てみると、2022年11月時点で最も多かったのは北海道の48件で、次いで広島県の24件、そして同数で山形県と愛媛県の18件となっています。

インフラツーリズムには、国などの管理者が実施する例と民間旅行会社が実施する例がありますが、いまお話した件数は両方のケースの合計です。
これまで集客を想定していなかった施設についても、観光資源としての価値を見出して地域経済に活かすためには、民間のアイデアも必要不可欠と言えます。

インフラツーリズムツアー件数

後間
さまざまな取り組みがある中で、成功例も出てきているのでしょうか?

宮里
インフラツーリズムツアー件数が全国一位の北海道では、2021年から室蘭港にかかる東日本最大の吊り橋「白鳥大橋」で、この吊り橋を吊るす主塔に船で渡って高さおよそ100メートルから港を眺めるツアーを行っています。

こちらは市や観光協会などが主催し民間のクルーズ会社が運営するもので、管理者の国土交通省との協定で職員が同行しないなど柔軟な運営になっています。

後間
素晴らしい取り組みですね。インフラツーリズムは今後どのような広がりを見せていくと思いますか?

宮里
インフラツーリズムは官民一体で地域連携の取り組みが進むことで、今後さらに盛んになって行く可能性があります。

インフラツーリズムの役割は、施設の見学など単体での公開から、見せ方やガイドなどを工夫し施設の付加価値を高め、観光資源として磨き上げさらには地域全体と連携し活性化につなげていく、というのが国の考え方です。

今後はインバウンド客向けのインフラツーリズムなども実施することで、観光復活の大きな力となるかもしれません。

後間
全国各地に眠るインフラ資源をより有効に活用してほしいですね。
今回は「観光の新たな方向性 インフラツーリズム」について宮里さんにうかがいました。

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