公開日
くらしと経済編集部

くらしと経済編集部

成長と進化が期待される、日本の有機農業

小林
こんにちは。小林美沙希です。
農薬や化学肥料を使わず環境や人にも優しいというイメージがある「有機農業」への関心が高まっています。
今日はその最新事情について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。
宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

成長と進化が期待される、日本の有機農業

小林
「有機農業」という言葉を良く聞くようになりましたが、詳しく教えてください。

宮里
はい。
まず、農薬や化学肥料を使って育てる農業は「慣行農業」と呼ばれ、日本ではほとんどの農家が慣行農業を行っています。

成長と進化が期待される、日本の有機農業

これに対し、「有機農業」は2006年に策定された「有機農業推進法」で化学的に合成された農薬や肥料を使わない。
遺伝子組み換え技術を利用しない、できる限り環境への負荷を低減する農業、として位置付けられています。
また、国際的な基準を踏まえて種や苗を植える前の2年間、化学肥料や農薬を使わない事も求められています。

小林
ただ、有機農業で栽培されたものは少し価格が高いイメージがありますよね

宮里
たしかに、有機野菜や「オーガニック食品」と呼ばれる加工品の価格は高めです。
これは微生物などの生き物が生息できる「土づくり」から始める必要がある等、手間暇がかかるため、そうした労力がコストに反映されています。

小林
少し価格は高くなるということですが市場規模の伸びはどうなんでしょうか?

成長と進化が期待される、日本の有機農業

宮里
実は近年、市場規模は徐々にではありますが伸びています。
ある調査データによると、有機加工食品の市場規模は2015年度はおよそ1185億円ですが、2019年度には14%ほどの伸びとなりました。
有機食品を扱う店舗が増えた事に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で「巣ごもり需要」や自宅で食材を調理して食べる「内食」のニースが広がった事も要因と考えられています。

小林
所謂「お家時間」が増えた事で、食材の質を見直すようになった消費者は多いかもしれませんね。

宮里
そうですね。
食の安心・安全への関心が高まり、インターネット通販で食材を購入する人が増えた印象ですし、こうしたニーズを受けて、有機食品専用サイトを開設する企業の参入も続いています。
一方、世界を見渡すと事情が大きく異なります。

成長と進化が期待される、日本の有機農業

全耕地面積に対する有機農業の取り組み面積の割合を、国別でみると、最も多いのがイタリアで、スペイン、ドイツと続きます。
日本は全耕地面積の0・5%とヨーロッパ諸国と比べ大きな差があります。

小林
今後、日本では有機農業の分野の成長は期待できそうでしょうか。

宮里
はい。
国は今年、環境に配慮した持続可能な農業の実現を目指す「みどりの食料システム戦略」を策定し2050年までに田んぼや畑に占める有機農業の割合を現在の0・5%から25%まで引き上げる目標を掲げました。
こうした動きもあって、拡大に弾みがつきそうです。

小林
環境にも配慮した人にも優しい有機農業の今後の広がりに期待したいです。
宮里さん、ありがとうございました。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!