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くらしと経済編集部

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化粧品から車まで用途拡大が進む、セルロースナノファイバー

小林
こんにちは。小林美沙希です。
「セルロースナノファイバー」と呼ばれる植物由来の素材をご存じでしょうか?
化粧品の素材から車まで、その用途は幅広く、今、注目されています。
今日はその最新事情について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。
宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

化粧品から車まで用途拡大が進む、セルロースナノファイバー

小林
さて、化粧品や車に使われていると聞くと、万能な素材なのかなと感じますが、詳しく教えてください。

宮里
はい。
まず、「セルロース」とは植物の細胞壁の骨格成分の事で、機械的・化学的な方法によって、肉眼では判別できないほどの細かいレベルまでほぐして作られる最先端の素材が「セルロースナノファイバー」です。

化粧品から車まで用途拡大が進む、セルロースナノファイバー

その、製造プロセスを見てみると、樹木を2センチほどに砕いた「木材チップ」を機械ですりつぶすなどして、「パルプ」と呼ばれる木材繊維に加工します。
これをさらに化学処理を施したりすることで「セルロースナノファイバー」になります。

小林
実用化も進んでいるという事ですが、具体的にはどのような使い道がありますか?

化粧品から車まで用途拡大が進む、セルロースナノファイバー

宮里
セルロースナノファイバーの特徴の一つ目は軽量でありながらとても丈夫な事で、実用化の例としてはクッション材のスポンジにセルロースナノファイバーを加えたランニングシューズがあります。
二つ目の特徴が空気を通しにくい事で、鮮度を保持する食品包装容器などへの応用が可能です。
三つ目の特徴は「粘り気」がある事で、この性質を活用して発売されたボールペンは世界的ヒットとなりました。

小林
セルロースナノファイバーの様々な機能はすでに私たちの暮らしの中で活用されているというわけですね。

化粧品から車まで用途拡大が進む、セルロースナノファイバー

宮里
そうですね。
今後の展望の一つとして自動車の分野の例を紹介したいと思います。
鉄製などの大きな部材をセルロースナノファイバーを混ぜた樹脂に置き換えられれば、車体を軽量化して燃費を改善でき二酸化炭素の排出削減につながると考えています。
環境省のプロジェクトでは大型部材に取り入れた車が試作されました。
通常の車と比べて200キログラムほど軽量となり、燃費も改善されたそうです。

小林
植物由来の部材で作られた車が普及すれば製造段階でも使用段階でも温室効果ガスの排出削減に期待できそうですね。

宮里
そう思います。
この試作プロジェクトは終了しましたが、2030年頃にはセルロースナノファイバー入りの部材を多数使った限定車種を登場させ、2040年頃にはあらゆる自動車で当たり前のように使われるようにしたいとの事です。

小林
去年、国が2050年にカーボンニュートラル宣言をしたことを番組でもお伝えしましたが、環境改善にセルロースナノファイバーが大きな役割を果たしそうですね。

化粧品から車まで用途拡大が進む、セルロースナノファイバー

宮里
そうですね。
国内の調査会社によると世界のセルロースナノファイバーの市場規模は2030年には出荷金額で258億円規模に急拡大すると予測されています。
日本でセルロースナノファイバーが注目される背景には国土の7割が森林で占められている事情もあります。
森林資源を活用して、石油由来の素材の使用量を減らせば地球温暖化防止にも貢献できます。

小林
セルロースナノファイバーが今後産業や暮らしを大きく変えていく、その展開に注目したいと思います。
宮里さん、ありがとうございました。

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