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長嶺 真輝

長嶺 真輝

「全員得点」でホーム初勝利をつかんだ琉球コラソン 上向き傾向にある“二つの理由”

味方の得点で喜びを爆発させる琉球コラソンのベンチ=11月23日、ANAアリーナ浦添

今シーズン苦しい戦いが続く日本ハンドボールリーグ(JHL)の琉球コラソンが、3カ月のリーグ中断期間を経て、ようやく本来の姿を取り戻しつつある。

11月23日にANAアリーナ浦添で行った今季第10戦では、最下位のゴールデンウルヴス福岡を相手に41ー30と快勝し、今季ホーム初勝利を挙げた。通算成績は2勝7敗1分で、勝ち点5。13チーム中11位となっている。

ウルヴス戦はフィールドプレーヤー13人が全員得点を挙げ、今季最多得点を記録。格下相手とはいえ、コラソンがやりたい「人とボールが動くハンドボール」が随所で見られ、速攻からの得点も多かった。なぜチーム状況が上向いてきたのか。二つの大きな理由を紹介する。

取り戻してきた攻守の「強さ」

素早い動きでシュートにいく比嘉信吾

昨シーズンはチームの歴代最多勝利数となる8勝を挙げて7位に入ったが、今シーズンは序盤戦で1勝6敗1分と苦戦。8月中旬から11月中旬のリーグ中断期間では「原点回帰」を掲げ、練習でオフェンスにおける縦の強い1対1やディフェンスでの強い当たりを徹底してきた。

リーグ戦再開後の初戦となった11月12日のトヨタ車体ブレイヴキングス戦では、無敗で首位を独走する相手にホームで20ー37と大敗した。しかし、チームを再構築してきた成果が表れる。サイズやフィジカルで勝る相手に対して高い位置から積極的にプレッシャーを掛け、ファウルでプレーを止めて相手のリズムを崩す時間帯もあった。

その次の試合となったウルヴス戦。試合後、東江太輝主将が「トヨタ車体戦からファイトの部分を継続してやって、アグレッシブに足を動かすことを継続して、それがいい方向に出たと思います」と振り返ったように、序盤から相手に対して激しく体を当てた。

シュートを決め、走りながらガッツポーズを決める仲程海渡

何度も相手のミスを誘い、比嘉信吾や仲程海渡らが度々速攻に走って加点。台湾出身で190cmの高さがあるパン・エンジャーはフィジカルの優位性を活かしてディフェンスの間を割ったり、強烈なディスタンスシュートを決めたりして存在感を示した。前から当たってきた相手の守備網を崩したことでボールも動き、シーズン序盤戦では少なかったサイドシュートも多く見られた。

結果、前半で25対15と大量リード。後半はプレーの強度が落ちて流れを渡す時間帯もあったが、危なげなく勝利した。 

この試合、速攻や7mスローのほか、サイドシュートも含めてチーム最多の8得点を挙げた左サイドの仲程は「各選手が目の前の守備を打開し、ディフェンダーをもう一人引き寄せることができたので、僕のところまでボールが回ってくる機会が多かったんだと思います」と振り返る。その上で「トヨタ車体戦でも強度を上げられた時間帯があったので、それを落とさないようにすることをチーム内でも話していました。いい感触がつかめて、次につながる試合になりました」と好感触を示した。

エンジャー、イェスペルが徐々に“フィット”

豪快なフォームでディスタンスシュートを放つパン・エンジャー

プレーの強度の他、今季加入した3人の外国籍選手がチームのスタイルにフィットしてきたことも明確に見て取れる。

言語の違いで試合中のコミュニケーションが難しく、序盤戦は細かい意思の疎通が不可欠なコラソンの人とボールが動くハンドボールに適応できなかったが、この中断期間で戦術への理解を深めた。特にライトバックで左利きのエンジャーはプレー時間も長く、チームの信頼を勝ち取っている。高さのあるディスタンスシュートは今季のコラソンにとって新たな武器だ。

ディフェンスで相手に体を当てるイェスペル・ブルーノ・ブラマニス(右)ら

ウルヴス戦では191cmのイェスペル・ブルーノ・ブラマニスもポストのディフェンスで体を張ったほか、これまでなかなか存在感を示せていなかったオフェンスでも放ったシュート4本を全て決めた。以下は東江主将の言葉だ。

「彼らとも、もうそこまで意思が伝わらないということもなくなってきたので、連係はだいぶ良くなったと思います。彼らも最初の頃のように不安を抱えることなくプレーできていると思います。まだ数的不利の時の戦い方は理解が追い付いていないところがありますが、もう少し詰めていけば難なく連係は取れると思います。この試合はイェスペルも最後の方で点を取ってくれたので、チームにとってプラスになります」

12月はアウェーで2試合 上位陣から勝利なるか

攻守で見せ場をつくり、会場を沸かせたベテランの連基徳

コラソンは年内にアウェーであと2試合を行い、12月2日は5位のトヨタ自動車東日本レガロッソ、同9日には9位のアースフレンズBMと対戦する。いずれも順位が上の相手となるため、当然ウルヴス戦のようにはいかないだろう。東江主将もそれを念頭に、意気込みを語った。

「(ウルヴス戦では)スペースが空いていたので、イメージ通りにシュートまでいけましたが、次戦以降はそう簡単に点は取れないと思います。1回の動きでノーマークにはなれないので、そこからもう一回連係してプレーを合わせていく。このままの感覚で次を迎えると厳しいので、また修正をしていきたいです。次の試合は30点を取れるかどうかくらいが肝になってくると思います」

13チームが2回戦総当たりで競うレギュラーシーズンは、折り返し間近。真価が問われる上位陣との対戦で白星を挙げ、いい形で前半戦を終えることができれば、年明け以降の後半戦で順位を上げていく可能性は十分にある。

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