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くらしと経済編集部

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産業用でも導入が進む『AR(拡張現実)技術』

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は「産業用でも導入が進む『AR(拡張現実)技術』」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

産業用でも導入が進む「AR(拡張現実)技術」

後間
「AR=拡張現実」は県内でもこの技術を使って火災で焼失した首里城を画面の中で蘇らせるなど、このところよく聞くデジタル技術ですよね。

宮里
はい。ARは「オーグメンテッド・リアリティー」の略でスマートフォンのカメラなどでとらえた現実の情報にコンピューターで作られた画像などを合成する技術です。
後間さんがおっしゃっていた首里城の事例のように、最近では失われた歴史的な建物を実際の街並みの中にARで再現するなど観光地での活用も増えてきています。
また、スマートフォンのカメラでとらえた現実風景のなかにモンスターが登場し、そのモンスターたちを集めていく人気のゲームもありますが、これもAR技術を使ったものです。

後間
徐々にAR技術を活用する機会が広がってきているのですね。

宮里
はい。そして、産業の分野でも導入が進んでいます。
例えば、作業支援での活用です。製造現場において、機器を扱いながらマニュアルを参照する場合、手がふさがってしまいとても非効率になってしまいます。
そこで、AR技術を導入した「ARグラス」と呼ばれるメガネ型の機器を装着し、そのディスプレイ上に作業手順やマニュアルを表示することで、手をふさぐことなくマニュアルを見て作業できるようになります。
また点検・保守にも活用されていて、例えば機器や製品においては複数の項目を漏れなく確認する必要があります。
AR技術なら目の前の機器などに重ねて点検の項目や方法などを表示できるため、効率的で正確なメンテナンスが可能です。
さらに、実際の製品に作業手順やマニュアルを重ねて表示し、現場に近い環境で実践的な研修やトレーニングをすることもできます。

産業用でも導入が進む「AR(拡張現実)技術」

後間
なるほど。様々な活用法があるのですね。では、実際にAR技術を導入した企業の事例はありますか?

宮里
大手ガラスメーカーでは開発中の設備の画像と実際に設置する現場の画像を重ねて表示するAR技術を導入しています。
これまでは関係者が図面を共有し、設置状況をイメージするしかありませんでしたが、ARの導入によって実際の状況がリアルにわかるようになり、開発のスピードアップにつなげる考えです。同社では、設備の開発期間を3割短縮することを目標にしています。

このほかにも大手自動車メーカーでは、整備に必要な情報を車に重ねて表示するARグラスを開発し導入しています。
アメリカの調査会社によるとこのようにAR技術の世界市場は2023年から2030年にかけて年平均39.8%成長し、2030年までに約89兆3000憶円に達する見込みです。

産業用でも導入が進む「AR(拡張現実)技術」

後間
労働環境の改善や安全性の向上、さらには技術の継承にもつながるAR技術は大きな可能性を秘めているんですね。
今回は「産業用でも導入が進むAR技術」について宮里さんにうかがいました。

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