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くらしと経済編集部

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ハイブリッド魚も登場 養殖ビジネスの新しい波

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は「『ハイブリッド魚も登場 養殖ビジネスの新しい波』」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

ハイブリッド魚も登場 養殖ビジネスの新しい波

後間
今、養殖ビジネスが変化しつつあるということでしょうか?

宮里
はい。養殖ビジネスは日々盛んになっていて大きな変化も起きています。
まずは、漁業をめぐる世界の状況について確認しておきましょう。

2020年、国連世界農業機関の発表では、1950年におよそ2000万tだった世界の魚介類の総生産量は、2018年には約1億7900万tと、この70年ほどで9倍弱に増加しています。
中でも養殖生産量は年々伸びて、全体の46%を占めるまでになっています。
さらに、世界の一人当たりの年間平均消費量も増加傾向にあり、2030年には2018年に比べて2700tほど需要が増えるという試算もあります。
魚介類の需要増加に対して供給が追いつかなくなる恐れがあるため、魚介の養殖には大きな期待がかけられているのです。

後間
なるほど。では今、どのような動きがあるのでしょうか?

宮里
はい。こちらで国内の養殖ビジネスで起こっている2つの大きな波を見てみましょう。
1つ目は「ハイブリッド魚の生産」です。「ハイブリッド」とは異なる種類同士の合成や複合といった意味で、近年、国内ではこのハイブリッド魚の生産を進める動きがあります。
千葉県館山市のベンチャー企業では、東京の大学が開発した、別の魚を「代理親」にして掛け合わせるという最先端技術を活用して、ハイブリッド魚の大量生産に成功しました。
来年にはテスト販売を始められる段階まできていて、現在4~5種類の養殖魚の開発に着手しているということです。

2つ目は陸上の人工的な施設で養殖を行う「陸上養殖」の動きです。
世界的な寿司ブームにより需要が増え続けているサーモンは、その養殖量も右肩上がりで増えています。しかし、需要拡大の一方で、世界にはサーモンに適した海域が残っていない状態となっていて、陸上養殖への移行が求められているのです。こうした状況を受けて、日本では各地で大規模なサーモンの陸上養殖施設の計画が進んでいます。
今年9月現在、年間2500t以上の生産を見込む大型計画が複数進行中で、外資系企業や投資ファンドなど水産関連以外の異業種の参入が目立ちます。

養殖ビジネスの新しい波

後間
需要拡大に向けて、さまざまな取り組みが進んでいるんですね。
今後の見通しも教えてください。

宮里
はい。こちらの国内調査会社による「次世代型養殖技術」の国内市場規模の推移と予測では、2022年度に473億5800万円と推計されていて、2027年度には約1.7倍の813億5500万円に拡大すると予測されています。水産物の需給バランスが危惧される中、安定供給が可能な養殖ビジネスの重要性は今後ますます高まっていくと考えられます。

次世代型養殖技術の国内市場規模・推移・予測

後間
今回は「『ハイブリッド魚も登場 養殖ビジネスの新しい波』」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいました。

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