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OTV報道部

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赤いふんどしのコメディアンが「基地問題」で笑う理由

赤いふんどしと赤いTシャツに身を包み、動画を通してさまざまな問題を社会に投げかける、お笑い芸人のせやろがいおじさん。

現在全国でツアーを行っていて「基地問題」もネタのひとつだ。

全国を舞台に「基地問題」で笑う。その視線の先にあるものとは。

“ハンニチ活動家”と呼ばれて

「スタンダップコメディ」
マイク一本と己の身ひとつで、客席を笑いの坩堝(るつぼ)に包み込むエンターテイメントだ。

赤いふんどし・赤いTシャツで社会を斬るせやろがいおじさんは、動画の世界を飛び出し、スタンダップコメディの舞台に立ち、現在は夏から続く、全18公演の全国ツアーを行っている。

主戦場はYoutube。沖縄の美しい風景の中で、基地問題に関する動画を撮影している。

反響は大きく、コメント欄にはさまざまな意見が寄せられる。

榎森耕助さん(せやろがいおじさん)
「僕の一緒に動画を作っているカメラマンが、僕が『反日活動家』って言われる事にすごい怒っていて。ある日『なんなんですか榎森さん!“ハンニチ”活動家って言ってるやつら。榎森さんのことなんもわかってないですよ!!だって榎森さん丸一日活動している日もあるじゃないですか!』って。いやその“半日”ちゃう」

全国の観客を相手に「基地問題」を笑いに変える。

全国各地をまわるライブでは、観客にただ「腹から笑ってほしい」と語る榎森さん。
ライブの中で扱う基地問題のネタは、榎森さんが沖縄に18年住み、本土出身者であるという経験に支えられている。

「本土出身者である自分が語る基地問題は、地元出身者の視点とはまた違うアプローチだ」と認識し、自分自身の経験や感じたことを元にネタ作りをしている。

本土出身だからこそ語れることがある

奈良県出身の榎森さんは、大学時代を沖縄で過ごし、お笑い芸人の道を志した。

すでに人生の半分を沖縄で生きてきた中で、アメリカ軍の基地問題について、自分なりの視点があることに気付いた。

それは、「本土出身の自分は、沖縄に基地を押し付ける側だ」という立場だ。

榎森耕助さん(せやろがいおじさん)
「『俺たち押し付けている側だよね』っていうアプローチで本土の人間に話せるっていうのは、沖縄芸人の中でも割と僕だけかなと思いながらやっているとこではありますね。沖縄に俺らは基地を押し付けているっていう形で『知らないってどうなんですかね』みたいな。ネタの中で直接は言わんけど気付きになるような、笑いとともに家に帰ったときに、『あれ、こういうことなんかな』って思ってもらえるような何かそういうバランスを目指してやっていましたね」

榎森耕助さん(せやろがいおじさん)
「辺野古の大浦湾に基地を作ろうとしているんですけど、マヨネーズ並みに柔らかい軟弱地盤というのがあるんですよ。軟弱地盤を改良するのに何万本という杭を打つんです。その杭を打って、お金を投入しまくって、完成しなかったら、悔やんでも悔やみきれませんよ。もしお金をかけ続けて、自然を壊して、杭を打ち込みまくって、完成しませんでしたってなったら、沖縄の海には『杭(悔い)』だけが残る(笑)」

沖縄を取り巻く根深い問題を榎森さんは視点を変えて笑いに昇華させる。

大浦湾の軟弱地盤には何万本も杭が打たれているにも関わらず、アメリカのシンクタンクは実現可能性を疑問視している。

榎森耕助さん(せやろがいおじさん)
「『できへん』って言っているのに突き進む。不条理で滑稽やなっていう見方もできると思うんですよね。滑稽やなっていう目線で見たときに、突っ込みどころが生まれて、それが笑いになっていく」

榎森さんは「民主主義」を「しんどいこと」だと表現する。
それでも、社会問題への関心をなくして考えることを放棄してしまえば、民主主義という建前さえ崩壊してしまうと危惧している。

社会のさまざまな問題と向き合い、閉塞感を感じている人こそ、ライブに来てほしいと榎森さんは呼びかける。

榎森耕助さん(せやろがいおじさん)
「めっちゃ真面目に答えましたけど、どうせ目そらすんなら俺のライブ来て目をそらしたらいいんじゃないっていう感じですかね」

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