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パーシャクラブ“らしくない”代表曲が生まれた理由【OKINAWA SONG BOOK~沖縄歌集~『パーシャクラブ篇』 】
連載企画「OKINAWA SONG BOOK~沖縄歌集~」
沖縄県内のみならず、日本全国で愛される沖縄の歌(ウチナーソング)。
名曲が誕生する背景には、その時々の世相が密接に関係しているといいます。
この企画では、誰もが知っている【一曲の沖縄の歌(ウチナーソング)】をテーマに、歌詞に込められた思いや制作秘話などを紹介しています。
八重山民謡をバックボーンに持つパーシャクラブ・新良幸人さんのどこまでも突き抜けるような歌と、爽快なメロディが魅力の「海の彼方」。
1999年に航空会社のCM曲に起用されヒット。2022年にも別のCMで起用され話題になりました。
ウチナーグチの歌詞で爽快なメロディと切ない言葉が聴く人の心を掴みます。
新良幸人
「ウチナーグチにはこだわるよね。“離りてぃんうむい勝てぃ”
離れててもあなたを思っているよ、思い起こせばもっと思いが募る、とか。
離りてぃんうむい勝てぃ、ここが一番大切かな。」
新良幸人
「パーシャクラブを1993年に結成して、「海の彼方」ができたのは1996年とか97年98年あたりなんですよ。」
しかし「海の彼方」は、曲が完成されライブでは披露されるも、当時音源化には至りませんでした。
新良幸人
「〝お蔵入り〟じゃないけど〝お蔵の庭〟に置かれていたんです。
「海の彼方」はザ・ポップスみたいな感じ。デモテープ作って歌ったときにいい曲だと思ったよ。歌い手だから。僕はそう思っているけど、パーシャクラブって言えばオリジナル曲では五穀豊穣とか、あの辺がパーシャであって。」
新良幸人
「パーシャがやりたい事があった。ウチナーグチで八重山民謡を基にした核があって、ジャズとファンクとどうやって融合できるかっていうのがあったんです。」
アルバム収録曲の選考作業はメンバー全員で話し合うというもので、「海の彼方」に対するメンバーの評価は複雑なものでした。
新良幸人
「好き度は高かったけど、アルバムに入れない度合いが一番だったのが「海の彼方」だったりするんですよ。」
県産本の出版・編集を務める新城和博さんは、パーシャクラブが結成される前からメンバーを知る1人です。
新城和博さん
「ミクスチャー度が低いって事じゃないですか。幸人の持っている音楽・八重山民謡の世界と違和感があればあるほど、ミックスされたときに意外性のある、どのバンドにも無いようなグルーヴとか出て来るはずだけど。やっぱり「海の彼方」はポップスだと思うんですよ。一般的に口ずさみやすい音楽であるという事がパーシャらしくなかったんですかね。」
そんなある時転機が訪れます。
新良幸人
「ある代理店から電話があって、CMの曲を探しているって。〝飛行機が空に飛び立っていろんな所にでかけるような曲ってありませんか?〟って聞かれて。あの曲がある!って。」
CM曲に採用された「海の彼方」は瞬く間に沖縄中で話題となり、その年シングルとしてリリース。その後アルバムにも収録されました
新城和博さん
「素人のど自慢大会みたいなのを見ていると、この歌が結構歌われているんですよね。
代表曲っていうのはバンドが作るのではなくて聞き手が作るんですよね。聞き手が受け入れて口ずさんでいたらそれが代表曲になる。」
パーシャクラブのポップス。「海の彼方」はバンドの代表曲のひとつになりました。
新良幸人
「今もあの曲歌う時は「海ぬ彼方~っ!」って感じですよ。ファンのみなさんもこうやって(両手を広げて)くれるんですよ。恥ずかしいんですけどねこの年で。
でもやっぱりあの曲はパーシャ自体でやって良かった。作って良かったなって思いますよね。今はもうパーシャの代表曲ですから。」
OKINAWA SONG BOOK 2023
特別番組「OKINAWA SONG BOOK2023」
2023年12月19日(火)19時00分から沖縄県内のテレビ8チャンネルにて放送!
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