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長嶺 真輝

長嶺 真輝

張本智和と二大エース「僕の存在はポイントになる」 “決戦の2月”を迎えた琉球アスティーダ、ベテラン吉村真晴に聞く

琉球アスティーダ、ベテラン吉村真晴に聞く
琉球アスティーダを力強くけん引する吉村真晴(左)=2023年12月、沖縄アリーナ(長嶺真輝撮影)

卓球Tリーグの琉球アスティーダが、レギュラーシーズン(RS)最終盤の山場となる「決戦の2月」を迎えた。

RS残り4試合となった現時点で、アスティーダは勝ち点38で6チーム中2位。同じく4試合を残している首位の木下マイスター東京を勝ち点「3」差で追い掛けている。3位以下は大きく離れているため、プレーオフに向けたRSの1位争いは事実上この2チームに絞られた。

アスティーダは2月に3試合を予定しており、3日のアウェー戦の後、10、11の両日には那覇市民体育館でホーム戦を行う。特に今季最後のホーム戦となる11日は東京と首位争いの直接対決となるため、RSの結果を占う上で大一番のゲームとなる。

アスティーダはこれまでTリーグで2度の優勝を飾っているが、RSをトップで通過したことはない。2度目の戴冠となった昨シーズンも、東京と勝ち点3差で惜しくも2位だった。今シーズンはRSを1位で終え、プレーオフで頂点まで駆け上がる“完全優勝”を目指しているため、負けられない戦いが続く。

1月にあった全日本選手権で6年ぶりにシングルス優勝を飾った張本智和、3位に入った吉村真晴を中心に、力のある中国人選手や、岡野俊介、濵田一輝といった成長著しい若手も台頭している。

チームの現状はどうなのか、RSをトップで通過するためのポイントは何なのか。エースの一人としてチームを力強くけん引するベテランの吉村が、インタビューに応じた。

1月の「大きな一勝」で勝利の立役者に

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オンラインでインタビューに応じる吉村真晴

ーー 1月の唯一の試合となった静岡ジェード戦は3ー2で勝利。自身は第2マッチシングルスと最後のビクトリーマッチで勝ち、殊勲の活躍だった。
「直前までカタールでの国際試合に出場していて、出られない可能性もありました。しかし試合に負けてしまい、張監督に『帰った方がいいか?』と連絡したら『ぜひ戻ってきてほしい』と言ってくれたので、急きょ飛行機を変更して静岡戦の2日前に帰国しました。時差ボケもあって練習はあまりできませんでしたが、前日はしっかり眠れたので、試合当日は良いコンディションで迎えることができました」

ーー 第2マッチシングルスの森薗政崇選手との試合は3−2の激戦だった。
「森薗選手は小学校の頃からの知り合いで、日本代表で一緒に合宿をしたり、試合をしたりして、もう20年ぐらいの付き合いです。彼はとてもガッツがあり、自分にとってはゲームを通して苦しい展開が多かったですが、サービスでうまく崩せたことが良かったです。彼の強さであるレシーブからのチキータもサービスで簡単にやらせなかったり、自分もガムシャラに1本でも多く返す事を意識したりと、我慢ができました」

ーー 最終ゲームの9ー8とリードした勝負所で、サービスレシーブのバックハンドでストレートをきれいに抜いた。狙っていたのか。
「ゲームの中で、森園選手のサービスが長かったりして、ゆっくりなボールを返したところを回り込んで打たれる展開が何球かあったので、繋いで失点をするんだったら、もう狙って取りに行こうと考えていました。自分からしたら、あのコースしか見えていなかったし、あそこしか点数は取れないという思いで勝負を仕掛けました。そういった面では、最後の最後まで我慢ができていたし、冷静に相手を見れていたと思います」

若手の台頭で“相乗効果”生まれる

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成長著しい若手の濵田一輝(手前)

ーー 最後のビクトリーマッチも冷静に戦って勝ち切った。その前の第4マッチシングルスでは、この試合がTリーグデビュー戦となった19歳の岡野選手が2ー3と好ゲームを演じたが、刺激になったか。
「なりましたね。『5番に俺がいるから思い切って戦ってこい』と伝えていたので、『負けてらんないよな』とは思ってました。ビクトリーマッチの相手の横谷晟選手はパリ五輪の選考会で負けたことのある勢いのある若手選手で、決して楽ではなかったのですが、この試合も最後まで冷静さを保って戦えました」

ーー 首位争いをしている中で新年1試合目を勝ち切れた意義は。
「レギュラーシーズンのチャンピオンになる可能性を残す大事な一戦だったし、今後も試合が続く中で苦しいゲームを勝てたことでチームに勢いが付くと感じます。『そう簡単にはチャンピオンを譲らないぞ』という気持ちで戦えました」

ーー 岡野選手や20歳の濵田一輝選手など、若手の活躍をどう見ているか。
「本当に素直な選手たちで、アスティーダで戦っていく中で『もっと吸収していこう』という姿勢や、練習中のモチベーションの高さを感じています。僕も『レギュラーの座は渡さないぞ』という気持ちになるし、刺激し合うことができています。チームの層が厚くなり、お互いにもっともっと成長できたらなと思っています」

今季最後のホーム戦へ「沖縄のファンと一緒に戦う」

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吉村真晴と共に琉球アスティーダを引っ張る張本智和

ーー RS最終盤に向けた勝負のポイントは。
「もちろん張本選手の存在はかなり大きいのですが、彼にだけチームを委ねるわけにはいかないので、その後のファイナルも見据えると僕自身の存在はかなりポイントになってくる。昨シーズンからずっと言ってはいますが、自分もダブルエースのような存在になりたいですし、僕が勝てればチームも絶対に勝つと思っています」

「今年は中国のジョ・シンコウ選手やシュウ・ユウ選手など強い選手がたくさん来てくれて、濵田選手や岡野選手、キャプテンの有延大夢選手も含めてみんなで強いチームを作り上げています。最終的にはチーム戦なので、みんなが一つになれるように、しっかりと高め合っていきたいです」

ーー ホーム戦2試合に向けての意気込みを。
「ホーム戦は木下マイスター東京との試合もあって大きい勝負になります。『必ず倒す』という強い気持ちを持ってお互いにベストを尽くし、最後の最後にどっちが勝つか、という見応えのある勝負になったらいいですね。ありがたいことに僕らのホームで大事な一戦を戦うことができるので、沖縄のファンの皆さんと一緒に素晴らしい試合を作り上げ、その先に勝つことができたらいいなと思っています」

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