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真栄城 潤一

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沖縄の自然・文化から得られる、尽きないインスピレーション|Pokke104さんインタビュー

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

2019年、火災によって一夜にして失われた首里城。26年の再建に向け、首里城復興までの歩みを見つめ、再建に携わる人たちの思いに触れる『首里城ふたたび』がOTVにて毎週火曜22:54〜放送中(沖縄県内8チャンネル)。

その番組のタイトルロゴを手掛けたのは沖縄県出身で全国で活躍しているイラストレーター・アーティストのPokke104(池城由紀乃)さん。
今回OKITIVEでは桜や花笠、サンゴ礁やオオゴマダラをあしらった『首里城ふたたび』のロゴに込めた意味や首里城の思い出、そして沖縄と創作活動について、お話を聞きました。

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

—まずは『首里城ふたたび』の番組ロゴデザインに込めた意味や思いについて教えてください。
真ん中にタイトルロゴが入るということだったので、周りに華やかさや沖縄らしさが伝わるものを配置したいなと。番組が冬にスタートするので、「沖縄の冬の花」として桜をあしらっています。さらにそこに、海や山といった自然、そして文化もチャンプルーして盛り込んでいます。花笠は首里城が舞踊などをはじめとした芸術で海外との交流や平和を築き上げてきた歴史的な場所なので、その象徴として描きました。

—首里城に思い入れはありますか。
いっぱいあります!首里城の絵をモチーフにしてよく描いていましたし、舞踊も見に行きました。
フリーになりたての時のお仕事で首里城グッズを作ったこともあります。そんな思い出もあって、燃えてしまった時は凄く悲しい気持ちになりました。首里城で先人たちの思いが込められた装飾品を見て、沖縄にはこんなにも素晴らしい文化があるのだと感動して、自然と文化をテーマにした作品を描き始めたんです。
『首里城ふたたび』では復興に関わる方たちの思いを紹介していますが、もっと見たいもっと知りたい、ということが詰まってて。番組を通して、知らないことってまだこんなにあるんだな、と気づき、沖縄の魅力を知ることができて嬉しいなと思いました。また再度首里城に足を運びたくなるきっかけにもなりました。

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

—キャリアのお話ですが、どんな経緯でイラストレーターになったんでしょうか。
私の時は、イラストレーターという職業が今みたいにメジャーではなく、私も「イラストレーターになりたい」と頑張ってなったわけではありませんでした。自分がやりたいことを行動し続けていたら、イラストレーターになっていた、という感じですね。
昔から物を作ることがすごく好きで。うちは三姉妹で、子どもの時から欲しい物は皆で一緒に自分たちで作るっていう環境でした。おじいちゃんが大工をしていたので、その道具を借りて何か作るとか。そういうことを楽しんでやっていたら今につながった感じです(笑)
でもモノづくりを職業にするイメージはなく、最初は専門学校に行ってホテルに就職したんですよ。
でもやっぱり自分のやりたいことではないな、と思って。「自分のしたい事は絵を描くことだ!」と思うようになって、絵を職業にしたい!と職業訓練校に行きました。そうしてやりたいことを続けていたら、展示会に出られるようになったり。沖縄の色んなアーティストが集まる展示会で、三姉妹で出たのが1番最初です。
人と違うことをしてみたくて、バルーンの中に作品を入れたり、私の作品を他のアーティストに立体にしてもらったりとか、色んなことを楽しみながら実験的にやっていました。
ホテル卒業後、広告代理店にもいました。
チラシの文字組を中心にやっていたんですが、周りの現場の人たちの制作風景を見ていて、すごく衝撃を受けました。先輩のイラストレーターに基礎を教えてもらい、大事な基礎になりました。その後会社を辞めて、関西で活動していた時にライブペイントで「サントリーミュージアム賞」という賞を受賞し、そこからグッズ制作や展示会も各地でするようになりました。

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

—たくさんの作品を手掛けていますが、特に印象深かったものや、あるいは転機になったものってありますか。
うーん……その時々の作品、各モチーフ全部1つ1つ思いがありすぎて、選べないです!だから、私の絵には海も山も文化も全部1個ずつ入ってるんです(笑)

—現在はどんな風にお仕事をしているんでしょうか?
絵に関しての仕事は特に縛りを設けずに、依頼いただいたものをワクワクしながらやっています。壁画の制作やワークショップにも取り組んでいます。私が幼少の時、父親が画用紙とかではなく、自分の家のブロック塀に何でも自由に描かせてくれた。
それがずっと忘れられなくて。壁画を描いている時に遊びに来てくれた子どもたちには触らせるんですよ。そんな風に皆で一緒に何か作るという経験が今の自分を作っているので、ワークショップはこれからも大事にやり続けていきたいと思っています。

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

—最近、拠点を沖縄に移したそうですね。
描くモチーフが沖縄のものが多くて、ずっと沖縄に支えられてきています。東京でも沖縄の仕事もしていましたが、やっぱりもっと土地の意味を知って描きたいっていう気持ちがあって。東京にいた時も月1では帰ってきていました。そうするうちに頻繁に帰ってくるよりも、いっそこっちで活動した方がいいなと。これからはもっと地元に貢献できるように、沖縄から発信して活動の幅を広げたいなと考えています。

—沖縄で好きな場所、インスピレーションが沸く場所ってありますか?
暇さえあれば自然のある場所に行きます。海も山も好きで、特に海だと座間味村に行きます。明日も行くんですよ(笑)。クジラが戻ってくるシーズンには、凄く近くで見られます。山だったら山原(ヤンバル)!
モチーフを描いていると、生き物の暮らしのことについて知りたくなって、詳しい方に聞いてみたり。
そうすると、そのモチーフに恋してしまうというか。ヤンバルクイナ、クジラとか。クジラが大好きなんです。それこそ座間味の海で見たら、「帰ってきてくれてありがとう」という気持ちになり、心打たれます。
座間味村ホエールウォッチングのポスターを2010年から現在まで描いていて、クジラの絵を描くために調べたり教えてもらったりして、どんどん興味を持ったんです。クジラは子育てのために帰ってくると、毎年違うシーンを見せてくれます。毎回ビックリ箱を開けているような感じです。
沖縄だと冬でも本土と違って花がたくさん咲いていたり、その南国の色彩に負けないぐらい太陽に映える琉球舞踊の衣装があったり、それらから元気をもらいます。沖縄が恋しくなった時には、その色に触れることで東京にいても「守られてる」って感じるんです。
どこにいても、地元の自然や文化から得られるものに支えられていると思います。

—好きな沖縄料理って…
(食い気味に)沖縄そばです!昨日も「泡瀬そば」食べてきました(笑)。麺の種類が選べるのが良いです。沖縄市が地元で、高原小での壁面に壁画も描いています。出張に行くと、やっぱり沖縄そばが食べたくなります。だから濃縮のスープだけを持ち歩いてて。で、麺は自分で打つんですよ。

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

—ええ!?
沖縄製粉のホームページにめっちゃ簡単な作り方があるので(笑)。30分で打てますよ。
その時にお世話になった場所や地域とかで、キッチンを貸してもらえる場所があれば皆で一緒に打つんです。先月も徳之島に1ヶ月滞在して壁画制作をしてたんですが、私が体調を崩した時に、1回しか行ってない飲食店の人がおかゆとか3日分のご飯を用意してくれたんです。それで何かお礼に何かできないかなって思って、地域の人たちと一緒になって沖縄そばを作って食べました。こんな風に、沖縄で繋がる交流みたいなことをよくやっています。だから、沖縄そばの出汁は出張には欠かせない(笑)。あとは、ジーマミー豆腐も好きですよ。

Pokke1044(池城由紀乃)インタビュー

—最後に、池城さんの作品をどんな風に楽しんでもらいたいですか。
私の絵だけじゃなくて、沖縄を発信している作品や、もの作りをしている人って、どこにいても、元気をもらえるっていうか。最近まで東京にも住んでいたんですけど、寂しくなった時、心折れそうになった時、沖縄の絵や色、音楽、文化に触れると持ち直せる何かがあるんですよね。
コロナ禍で、色んなイベントが無くなっていた時に、川崎でエイサーのイベントがあったんですが、そこでエイサーの音を聞いた時、涙が流れました。
そこからもらえるパワーを感じながら、皆で一緒に共有しましょう、楽しみましょうっていう感じですかね。
皆で一緒に沖縄を盛り上げていきたいと思っています。

首里城ふたたび

首里城ふたたび (沖縄県内 8チャンネルにて放送中)
毎週火曜 よる22:54〜

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