コラム,文化,暮らし
【沖縄のお盆】2024年の旧盆は8月16日〜18日!ウンケー・中日・ウークイの準備と流れを解説
沖縄の大事な年中行事のひとつ、旧盆。
2024年は8月16日(金)〜18日(日)で、旧暦の7月13日から3日の間です。
※地域によっては4日間
盆入りである8月16日(旧暦7月13日)は「ウンケー」と言い、あの世から祖先の霊をお迎えする日。
8月17日(旧暦7月14日)は「ナカヌヒー」(中日)で、仏壇を持たない家が仏壇のある家を訪れて先祖を拝みます。
最終日の8月18日(旧暦7月15日)である「ウークイ」は、祖先をあの世に送り出す日です。
今回の記事では、旧盆で準備するべきものや買い物リスト、仏壇の拝み方について解説していきます。
目次
沖縄のお盆(旧盆)に必要なもの・買い物リスト
お盆(旧盆)が始まると3日間はかなり忙しいため、「ウンケー」が始まる前に準備をしておくことが大切です。
必要なものをまとめたリストを作成しましたので、買い物の際に参考にしてください。
〜仏壇で必要なもの〜
□ ヒラウコー(沖縄の6本ついた平線香。火をつける道具を含め、必要な量があるかを確認しましょう)
□ お酒、お茶、花(仏壇にお供えします)
□ 果物(パイナップル・すいか・バナナ・オレンジ・ぶどう・りんごなどを7個ずつ左右の盆に)
□ さとうきびの杖(グーサンウージという先祖が使う杖で、仏壇の横に立てかけます)
□ さとうきび(短いものを7本束ね、左右に2束分置きます)
□ お団子(ウンケーダーグといわれる白い団子。餅粉が理想ですが最近は白玉粉を使用する家庭も多いです)
□ ミンヌク(水の子と言われ、先祖についてきた餓鬼や無縁仏が持ち帰るものです。さとうきびや野菜の切れ端などを、仏壇の提灯の足元にそっと置きます)
□ 酢の物(ウサチといわれ、ゴーヤーやニガナなど酢の物なら何でも大丈夫です)
□ ウンケージューシーの材料(豚バラ、人参、椎茸など具沢山の沖縄ジューシーに、妖怪や化け物を寄せ付けないために香りの強い生姜などを入れます)
□ ショウガ(葉付きのものが理想。ウンケージューシーと酢の物の手前に置きます)
□ ソーローメーシ(先祖が使うお箸で、メドハギの枝などを使用します)
※これらは地域や家庭によって異なったり、用意できる材料で代用する場合もあります
このほか、仏壇や位牌を綺麗にするための掃除用具や果物を置くガンシナ、花瓶など、ウンケーが始まる前にご先祖さまを迎える準備ができているか確認しておきましょう。
先祖を迎える日「ウンケー」(8月16日)
ご先祖さまを迎える仏壇の準備が整ったら、いよいよ旧盆が始まります。この日までにお墓を掃除して、門番である「ヒジャイガミ」という神様を拝む家庭が多いです。
お墓の掃除の仕方やヒジャイガミの拝み方はこちらの記事をご確認ください。
初日の「ウンケー」は8月16日(金)。夕方から行われるので、朝から昼にかけて掃除やお供物の準備をして過ごします。
夕方になると門前へ出て、親族でご先祖さまのお出迎えをします。
〜門前での出迎えで必要なもの〜
□ ソーローホーチ(ソーローメーシを集めて作った先祖のほうき)
□ ちょうちん(門前左右に2灯の1対で配置します )
□ カビバーチ(ウチカビを焚く時に使用する火鉢 )
□ トゥブシ(迎え火となるたいまつの代わりになるロウソク。風が強い沖縄なので、大きめがおすすめです)
玄関でのお出迎えの際の拝みの手順は、以下が一般的とされています。
1.家の主人(主に男性)が火をつけたヒラウコー(平線香)二枚を門前に置きます。
2.家族全員で門の内側から外に向かって合掌し、主人が「旧暦7月13日の盆の入りです。家族そろってご先祖さまをお迎えしますので、どうぞおいでくださり、一族のもてなしを受けてください。」とお祈りします。
3.家族全員が、各自半分のヒラウコーを立てて拝みます。
4.家族全員分の線香をお供えしたら、全員で合掌し「今日から3日間、クンマガ/クワンマガ(子や孫)で心よりのおもてなしをさせていただきます。家族全員、健康で子孫繁栄を願います」と祈りを捧げます。
5.無事にご先祖さまをお迎えした後は、一晩中、灯りを絶やさないようにします。
お出迎えが終わると、お仏壇に移動し(ヒラウコーやロウソクを一緒に持っていきます)、家族でお供物をいただいたりしてウンケーを過ごします。(ウサンデーサビラと言いながら、仏壇からお供えものを下げましょう)
8月17 日「ナカヌヒー(中日)」の過ごし方
ウンケーの翌日はナカヌヒー(中日)と呼ばれ、招き入れた先祖と過ごす日。
今年は8月17日(土)にあたります。
ウンケーやウークイと違って、分家の人々が仏壇のある家(ムートゥヤー/ムチスク)にお中元を持って訪れます。多くの人が移動するため、沖縄では渋滞になることもあります。
お中元に持参する手土産は、1000円〜2000円程度の品が一般的。
日持ちのするお菓子や乾物、洗剤などの消耗品が好まれます。
手土産の上に、あの世(グソー)で使用するお金の「ウチカビ」をのせる家もあります。
沖縄ではお中元は直接持っていくことが一般的ですが、遠方や都合で訪問できない時は郵送する場合もあります。
仏壇のある家を訪れる際のマナーやお中元の備え方はこちらの記事をご確認ください。
〜ナカヌヒー(中日)のお供えもので準備するもの〜
ナカヌヒーでは1日を通して先祖にお供えものを用意します。
例えば、以下のもの。
□ ヒティミティムン(朝食):ごはん、味噌汁、酢のもののお膳
□ アサバン(昼食):そうめん汁
□ マドゥヌムン(おやつ):沖縄ぜんざいや沖縄由来のお菓子など
□ ユウバン(夕食):ごはん、味噌汁、煮もののお膳
ただ、最近は家庭料理や親戚からもらったお菓子、缶詰などを供える家庭も多いようです。
ナカヌヒーのお供えものや拝み方について詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
お供えものをしたら、この日はご先祖さまと親戚でゆったり過ごす日です。
ナカヌヒーが終わると、いよいよお盆の最終日であるウークイを迎えます。
ウークイ(8月18日)はお盆最終日!ご先祖さまが還る日です
お盆(旧盆)の最終日8月18日(日)「ウークイ」は、3日間滞在した先祖があの世(グソー)に還る日です。
この日もウンケーやナカヌヒーと同じく朝からお茶や食事などをお供えして、晩にはウークイ(御送り)を行います。
ウークイはできるだけ遅い時間がいいとされていますが、家族の翌日の予定などを相談したうえで、夕方以降に行うのが一般的となっています。
〜ウークイのお供えもの〜
ウークイでは三度の食事に加えて、「ウサンミ」という沖縄の重箱をお供えします。
お餅や沖縄のおかずが入っていて、手作りする家庭もあれば、事前に注文したり、スーパーで購入して用意することもあります。
ウークイの儀礼では最後にウチカビを焚くため、お重の上にウチカビを添えます。
「ウサンミ」の作り方やウークイの詳しい準備についてはこちらの記事をご確認ください。
〜ウークイで必要なもの〜
□ ウチカビ(あの世のお金)
□ カビバーチ(ウチカビを焚きあげる容器)
□ クワズイモの葉やアルミホイル(お供えものを包む)
□ 金属製のトング(ウサンデーやウチカビを掴む)
〜仏壇・門前での儀式〜
いよいよウークイの準備を進めます。
まずは仏壇を拝み、ウチカビを焚く儀式を行います。
1. 主人(ムートゥヤー/ムチスク)は、ヒラウコーを二枚(12本)立て、「家族一族全員で、ご先祖さまをおもてなしすることができました。」と感謝のことばを唱えます。
親族全員が、ヒラウコー半分(3本)を立てて、ご先祖さまに感謝の気持ちをお伝えします。
この際、それぞれ名前と干支もお伝えします。
2. 全員がヒラウコーを立て終えたら、主人はご先祖さまに日ごろの守護の感謝と子孫繁栄を願います。(祈りの言葉をグイスと言います)
また、集った全員が手を合わせて「来年もいらしてくださいね。」と祈ります。
供えた重箱料理から二、三品を取り出して、ひっくり返しておかずの上の方に重ねます。
ご先祖さまに「ウハチ(お初=最初のおかず)」を差し上げるというものです。
3. 次にウチカビを焚き上げます。まず主人がウチカビを焼き、燃えつきたらカビバーチというウチカビを焚きあげる容器の中で、仏壇にお供えしていたお酒をかけていきます。
このとき、ウチカビの炎が青く光ると、ご先祖さまに感謝の気持ちが通じているといわれています。
続いて家族や集った一族の順でウチカビを焼いていきます。それぞれ三枚ずつ焼き上げるのが一般的です。
4. 最後に仏壇のお供えものをおろして、カビバーチの中にお花、お茶、ウハチ(最初のおかず)、ソーローメーシ、ミンヌク、香炉のヒラウコーを入れていきます。
*グイス(祈りの言葉)の意味を知ろう*
「本日はウークイの日となりました。三日間、私たちのおもてなしを受け取ってくださりありがとうございます。
本日のお供え物、お土産をお受け取りいただき、あの世でも、私たち子孫をお見守りいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
そしてまた来年もお越しください。」
仏前での拝みが終わったら、続いて家の外の門前でお見送り(ウークイ)をします。
焚いたウチカビやウハチなどを入れたカビバーチは門前まで持って行ってください。ヒラウコーも使います。
まずは主人がヒラウコーを二枚をお供えし、「盆のおもてなしを滞りなく済ませました。お土産に御馳走とウチカビをお持ち帰りください。」と祈ります。
集った一族・家族全員も合掌して「来年もいらしてくださいませ。」と唱えて、ご先祖さまを見送ります。
カビバーチの中のお供えものをクワズイモの葉やアルミホイルに包み、そのまま翌日まで門前まで置くのが昔からの風習です。
また、ウークイの儀式を終えたら、仏壇のお供えものや飾りつけをその日のうちに片付けるのが先祖への礼儀とされています。
ウークイの夜は、地域の青年会などが道ジュネーと言われるエイサーを披露します。
こちらも旧盆の風物詩!ぜひチェックしてみてください。
沖縄旧盆用語集
最後に、知っておきたい、沖縄旧盆で使う用語集をご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。いい旧盆をお過ごしください。
・ウンケー:旧盆の初日(旧暦7月13日)を指し、「お迎え」を意味します。先祖の
霊をお迎えする日です。
・ウークイ:旧盆の最終日(旧暦7月15日)を指し、「お送り」を意味します。先祖の霊を送り出す日です。
・グソー:お墓のことを指します。旧盆の前に墓掃除を行います。
・ヒラウコウ:沖縄の歴史や御願文化から生まれた、日本線香6本分がくっついたような板状の沖縄線香。
・ウチャトゥー:お茶のことで、先祖の霊に供えるものの一つです。
・ナカヌヒー:旧盆の中日(旧暦7月14日)を指します。先祖の霊をもてなす日です。
・チュクン:「重箱チュクン」のことで、重箱おかず2箱ともち2箱の合計4箱で構成される供物の一組を指します。
・ウサンミ:沖縄の伝統行事に欠かせない重箱料理。
・ムートゥヤー:本家のことを指し、仏壇を継承する家を意味します。
・ウハチ:お供えした重箱から最初のおかずをとって先祖に供えること。
・ソーローメーシ:メドハギを使った、先祖が使うお箸。
・ミンヌク:無縁仏や餓鬼(チガリムン)に供えるもので、主にサトウキビや野菜の切れ端で構成されます。
・ウサンデー:神仏におそなえした供物をいただくこと。
・ウチカビ:紙銭のことで、先祖の霊に供える「あの世のお金」です。ウークイの日に焚き上げます。
あわせて読みたい記事