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やっとこの日が来ました!HY SKY fes 2020→2021 皆が待ち望んだ繋がれる場所。
夏かと錯覚するような日差しを浴びて、たくさんの楽しげな表情が輝いた。2021年12月12日に開催されたHY主催の地元密着参加型イベント『SKY Fes 2020→2021』は、師走も半ばに突入する頃合いにもかかわらず汗ばむほどの陽気で、絶好のフェス日和だった。延期を経て2年ぶりの開催となった会場には、同じ空間で身体を揺らすリズムを、空気を震わせる歌声を、そして音楽の楽しみを共有することを心から待ち望んだ人たちが集っている。
「今日のこの日を待ち侘びていた!」。HYのVo/G・新里英之さんはマイクを通してこの言葉を繰り返し発した。その思いをたっぷりと乗せた歌声と演奏は、コロナ禍で我慢を強いられてきた観客の感情を解放するように青空に響き渡った。
SKY Fesは「地元密着参加型」という枕詞の通り、単なる音楽フェスではない。多彩なラインナップのアーティストが出演する特設ステージの周囲には、キャンプサイトやワークショップが行われるスペースも設けられている。開場前のキャンプサイトには前日から泊まりで参加した人たちがいて、ハンモックに揺られたり、笑顔で走り回ったりする子どもたちの姿もあり、穏やかで緩やかな空気が流れていた。
子どもたちに夢を持ってもらうこと、自然環境について考えるきっかけを与えることがフェスのテーマでもある。関連して、HYメンバーも参加する楽器作りやお絵かき、サンゴ染め体験、キャンドル作り、焼き芋&ピザ焼き体験など、文字通り参加型のワークショップも会場で多数実施され、沖縄県内外の多くの人たちがそれぞれの思い出を作った。
フードコーナーにはHYメンバーが手掛けた沖縄そばを販売する「パーラー照間」を始め、タコライスやピザ、ハンバーガー、唐揚げ、焼き鳥などのキッチンカーが10台以上並び、お昼時間には長い行列ができていた。
会場入り口にはオープン前から既に多くの来場者が駆けつけており、開場と同時に入場した人たちからは、今か今かとはやる気持ちが溢れ出し、既に高揚感が漂っている。
開演前にステージでOTVの大城良太、小林美沙希両アナウンサーが感染対策のための注意事項を呼び掛けた後、オープニングのウェルカムライブでHYメンバーが登場。アコースティック編成で「エール」を演奏すると、客席が一気に盛り上がる。ライブに“飢えていた”からこそのビビッドな反応には、その場にいる人たちを巻き込むほどのパワーに溢れていた。
演奏を終えた新里さんが「楽しんでいって!」と言い残して呼び込んだのは、本編トップバッターの「アカネキカク」。振付師のakaneさんが主宰するダンス集団だ。ギラギラのボディコン衣装に身を包んだ女性集団がキレッキレのダンスで醸し出す雰囲気は瞬く間に空間を飲み込み、客席のテンションは爆上がりだ。荻野目洋子の「ダンシングヒーロー」で会場と一体になって踊り、トップバッターの役割を果たした。
続くは地元・沖縄名護市出身のシンガーソングライター・大城美友さん。アニメタイアップ曲の「ブルー・ホライズン」やデビュー曲「オレンジバタフライ」を、空を突き抜けるようなパワフルでダイナミックな声で歌い上げた。
さらに沖縄勢として、HYの地元・うるま市の中高生による現代版組踊り「肝高の阿麻和利」の上演もあった。
晴れ渡る空にぴったりの爽やかなメロディを歌いながら、高熱量のステージを披露したのはファンキー加藤さん。8年ぶりの再始動を発表したFUNKY MONKEY BABY’Sのメドレーも繰り出し、客席を大いに盛り上げる。
なかなか沖縄でライブを見ることができない清水翔太さんのパフォーマンスでは、感染対策で大声が制限されてはいるものの、喜びを爆発させたファンからの黄色い歓声が漏れ出た。生バンドによるブラックミュージックのビートで、ダンスもクールに踊りつつ抜群の歌唱力で観客を魅了した。
陽が沈み始めて涼しい風が吹く中で登場したKICK THE CAN CREWは、もはやベテランと言っていい長いキャリアと“スター然”とした佇まいが持つ説得力を感じさせる圧巻のステージを展開した。曲間のMCでの掛け合いで客席の笑いもとりつつ、代表曲「マルシェ」や季節に合わせて「クリスマス・イブRap」も披露。20年ぶりとなる沖縄ライブで7曲を歌い切り、トリのHYに繋いだ。
「やっとこの日が来ましたー!!」と新里さんがはち切れんばかりの思いを叫びながら、アップテンポで朗らかな楽曲「no rain no rainbow」がHYのステージの冒頭を飾る。アカネキカクのメンバーもステージに呼び込んで、早速フェスの醍醐味を惜しげもなく客席にぶつけてきた。続く「ココロノホシゾラ」では、2人のボーカルの伸びやかな歌声が会場に爽やかな空気をもたらす。
Key/Voの仲宗根泉さんが「清水翔太の時には思わず声漏れてたのに、私たちの時には漏れないねえ。主催者なのに(笑)」とMCで切り出してドッと笑いが起きる。「久しぶりの野外、気持ち良いね」と噛み締めるようにつぶやくと、感謝の思いに節をつけてピアノのメロディに乗せる。そのまま清水翔太さんを呼び込み、HYのバラード代表曲「366日」へ。客席はあっという間にウエットな雰囲気に包まれ、目を潤ませながら聞き入る人の姿もあった。
新里さんが「子どもたちに夢を与えるということがフェスのテーマの1つだった」と説明し、真和志高校手話部と「琉球國祭り太鼓」をステージに招き入れる。歌詞を表現した手話と太鼓とのコラボレーションで披露したのは「帰る場所」だ。会場からは太鼓に合わせて手拍子が起こる。続いて「AM11:00」のイントロが鳴るとすぐさま客席が反応し、たくさんの人たちが身体を揺らしながら音楽に身を任せる。
「熱く盛り上がっていくよー!」(新里さん)の掛け声とともに「隆福丸」に突入すると、客席からは拳が突き上がりボルテージは急上昇。さらに腕を上下に振るダンスもメンバーと一緒に踊り、音楽を心底楽しむたくさんの笑顔が照明に照らされていた。この曲で本編は終了したが、当然のように拍手は鳴り止まずアンコールに流れ込む。
「みんなが感染対策も一生懸命頑張ってきてくれたおかげで、今日のこの日を迎えることができました。このままみんなでコロナなくそうね」(新里さん)。フェスが延期になったことも含めてコロナ禍の日々を少し振り返りながら「ラストはHYからこの曲を贈りたい。最高の思い出作りましょう」と会場に呼び掛けて披露したのは、代表曲「ホワイトビーチ」。サビの「風を集めて飛び上がろう」に合わせて会場全体が大きくジャンプする光景は、心震わせるフィナーレとして参加者全員の心に刻まれたに違いない。
最後にステージ上から客席も入れ込んで記念撮影。新里さんが「HY SKY Fes、大成功です!!」と晴れやかな笑顔で宣言してステージの幕が降りた。
感染対策を踏まえて制限もあるフェスだったが、HYが奏でた朗らかな音色は冒頭で歌った「no rain no rainbow」の歌詞のように、さまざまな状況で傷ついた人の心に虹を貼って彩りを与えてくれた。音楽を堪能することでシンプルに感じられる幸せを共有する場所を作ってくれた。
フェスのホームページには「次回、2023年またお会いしましょう」とある。会場を後にする人たちはきっと、感染対策も環境への配慮もそれぞれの日常でできることを続けて明日に向かおうという気持ちを新たにしたことだろう。みんなで楽しめる場所をこれ以上失わないようにするために。
Information
- HY SKY Fes 2020→2021 放送決定!
2022/2/5(土) 17時より
HYゴーゴーゴーヤーにて3週連続で「HY SKY Fes 2020→2021」放送します!
【放送日 2/5.2/12.2/19】
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