エンタメ,スポーツ
「海を越えた天皇杯。」“small island”沖縄のキングスが初優勝した意味…清水由規・元日本代表HCや福岡第一高の井手口孝監督も祝福
EASL準決勝後に選手ミーティング「同じ方向を…」

代々木での興奮から2日が経った17日午後、キングスのホームタウンである沖縄市役所。市長への優勝報告を終え、生え抜き13シーズン目の岸本隆一が落ち着いた様子で記者会見に臨んだ。
「優勝できたことをすごくうれしく思っています。今回を含めると(天皇杯で)3回ファイナルに進み、これまではすごく悔しい思いをしてきました。今回の優勝で、その悔しさを晴らせたと思っています」
キングスが初めて決勝に進出したのは2年前の第98回大会。そこから3年続けて最終決戦の舞台に立ったが、過去2回はいずれも千葉ジェッツに敗れた。特に昨年は69ー117という屈辱的な大敗を喫したため、「三度目の正直」で悪夢を振り払えた喜びはひとしおだろう。
Bリーグでは西地区首位を走るが、直近のチーム状況も決して良いとは言えなかった。
3月7〜9日にマカオであった東アジアスーパーリーグ(EASL)のプレーオフ「ファイナル4」ではチームが一つにまとまり切れず、痛恨の2連敗。Bリーグ西地区で上位争いを続ける島根スサノオマジックとのホーム戦でも延長戦の末に惜敗した。岸本は「結果が伴わない中で挑んだ決勝でした」と振り返る。
それでも本番では「みんなが同じ方向を向いて、同じ温度感で戦えた」(岸本)と言う。桶谷大HCも「それまではみんなプレッシャーを感じている様子で練習や試合をしていましたが、決勝会場に行った時にはチームに『怖いもの知らず』な雰囲気を感じました。自信を持って試合を迎えられたと思います」と語り、試合前から勝利の予兆を感じ取っていたようだ。
苦しい3連敗の中、何か好転するきっかけがあったのか。岸本の見解はこうだ。
「EASLの準決勝で負けたタイミングで、選手同士でミーティングをする機会がありました。『プレーするのは自分たちなんだ』とか、いろいろな事を話し、もう一回みんなが同じ方向を向くきっかけになったと思います。そこからまた2連敗はしましたが、優勝できたことで、誠意を込めて頑張ればこういう結果に繋がること、何度でも挑戦することに意味があることを再確認できました」
タイトルが懸かる試合での黒星ほど大きなダメージはない。EASLファイナル4のようにチームがバラバラになった状態で敗れれば尚更だ。気持ちが折れても不思議ではないような試合が続く中、選手たちは度重なる「悔しさ」を力に変え、団結して戦うという本来の姿を大一番で取り戻してみせた。
あわせて読みたい記事