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「海を越えた天皇杯。」“small island”沖縄のキングスが初優勝した意味…清水由規・元日本代表HCや福岡第一高の井手口孝監督も祝福
先人たちの奮闘の歴史に思いをはせる。
地元出身プレーヤーである岸本は、先人たちの奮闘の歴史に思いをはせる。
「正直、天皇杯は沖縄の人にとってそこまで馴染みのある大会ではなかったと思います。僕も小さい時に大会を見た記憶はありますが、いつ開催してるとかまで知りませんでした。でも、そういう時期から日本一を目指して戦ってきた人たちがいて、その思いが繋がって今に至り、今回優勝することができました。全部が繋がってると思います。先人たちの頑張りがなければ僕らはここにいない。沖縄の方たちに、天皇杯の価値を広げられたんじゃないかと思っています」
離島県である沖縄はどの競技においても県外の強豪と日々切磋琢磨することが難しいため、全国で戦う力を身に付けることは容易ではない。それでも「沖縄から日本一を目指す」という熱意を持った選手、コーチたちが試行錯誤を重ね、学生カテゴリを中心にバスケットボールや野球、ハンドボールなどで黄金期を作った時代もある。
県外との情報格差や行き来をすることのハードルが和らいだ現代においても、小さな島から全国に挑むという気概は脈々と受け継がれている。地域的な独自性の強さからなのか、「沖縄のために…」と郷土愛を口にするアスリートも多い。
そのスピリットは、所属6シーズン目となった米国出身のジャック・クーリーにも乗り移っているようだ。天皇杯優勝後のコート上インタビューで「small island」という言葉で沖縄を表現し、こう言った。
「こんなに大勢のファンが小さな島から来てくれて、皆さん一人ひとりのことを本当に誇りに思います。毎試合応援してくれてありがとう。これで(Bリーグを合わせて)2つのチャンピオンシップを獲得することができました。重ねて感謝します」
クーリーは2022-23シーズンにキングスがBリーグで初優勝を遂げた時も、「沖縄という本当に小さな島のチームが日本一になったんだ」と誇らしげに語っていた。
今回の決勝を含め、チームはアウェー戦など県外での試合の度に飛行機で移動するため身体的負担が大きい。球団経営の面から見ても人口の多い大都市圏のチームとはマーケットが比べ物にならないほど小さい。
地理的な不利性も含めて高い壁が立ちはだかっているからこそ、「小さな島」から日本一を掴み取るという成功体験は何事にも変え難い達成感があるのだろう。
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