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フードライター山内朝美(OFNE)

フードライター山内朝美(OFNE)

マンゴーで煮込んだ三枚肉!?新感覚の沖縄そばと手作りスイーツを、心癒す庭園に包まれながら味わう「てぃーち」(豊見城市)

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)

那覇から車でおよそ30分、豊見城市翁長の静かな住宅街の一角に、「てぃーち」はあります。

家族総出で営むお店では、ダシから具材までバランスよく仕上げた沖縄そばと、マンゴー農園の恵みを活かしたスイーツを楽しめます。「おいしいと楽しいが1つに」のコンセプトから生まれた店名は、沖縄の方言で数字の1を意味する「てぃーち」。家族みんなが「1」が好きだったこともあり、この名前が付けられたのだそう。

門をくぐると、美しく整えられた庭園と開放的な店内が出迎えてくれます。食事だけでなく、アートや地元文化にも触れられる特別な空間で、ゆったりとした時間を過ごせます。新感覚の沖縄そばを求めて、取材日も多くの人が足を運んでいました。

それではまず、「てぃーち」の店内外のうつくしさをご覧ください。

目次

「てぃーち」のうつくしい庭園と木のぬくもりの店内

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)

店内から見た手入れの行き届いた庭園。非日常の静けさと開放感に包まれながら、食事前のひとときを楽しめます。

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)

お座敷には扉付きの仏壇があり、沖縄の伝統家屋文化を感じられるのも特徴です。

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)

温かな照明と木の家具のテーブル席で、ゆったりとした時間を過ごせます。

「てぃーち」のおすすめNo.1の沖縄そば定食

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)
三枚肉てぃーち定食(税込1,500円)

「てぃーち」の看板メニューである三枚肉てぃーち定食は、沖縄そば・選べるスイーツ・選べるドリンクがそろう贅沢な三点セット。今回はスイーツに自家製マンゴーソースのチーズケーキ、ドリンクには沖縄らしいさんぴん茶を選びました。

鮮やかな黄色の器に盛られた沖縄そばに彩よくならんでいるのは、三枚肉、かまぼこ、昆布、紅しょうが、刻みねぎ。麺は照喜名製麺所の中細ちぢれ麺を使用し、店内のキッチンでひと手間加えて、よりつるりとした喉ごしともちもち感を引き出しています。

鰹・昆布・豚骨・鶏ガラを合わせたダシは、どの素材も出しゃばらず、口に入れたとき、調和の取れた上品な旨みが広がります。油分は控えめながら、じんわりと甘みが残り、最後の一口まで飽きさせません。生麺ならではのプリッとした弾力と、ダシのやさしい香りが寄り添う一杯です。

マンゴーで三枚肉煮込んじゃいました!「てぃーち」の楽しいアイデアがのった沖縄そば

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)

写真を撮った直後、ほろりと崩れた三枚肉。脂身までやわらかく仕上がっている理由は、マンゴーでじっくりと煮込んでいるからだといいます。果実に含まれる酵素が肉の繊維をほどき、口あたりをやさしくしてくれるのだそう。
さらに、煮込み過ぎないことも大切なポイント。鍋のなかを見つめながら、「ちょうどいい」と思えた瞬間に火を止めるといいます。

豚の角煮にマーマレードジャムを使う話はたまに耳にしますが、マンゴーは驚き。どのような味になるのか心躍らせながら一口かじれば、肉汁と脂身からじゅわっと旨みが広がり、すぐあとにまろやかな甘みとフルーティーな香りが重なります。
マンゴーの香りが脂の重さをやわらげ、最後まで軽やかな後味に仕上げていました。

マンゴーで煮込んだ三枚肉は、「てぃーち」ならではの贅沢な味わい。訪れたときには、ぜひそのやわらかさと甘みを確かめてみてくださいね。

「てぃーち」の斬新なアイデア!その名も「なかむどぅちそば」

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)
なかむどぅちそば単品(税込850円)

沖縄の汁もの料理といえば、中身汁とイナムドゥチ。
中身汁は豚の内臓を使ったお吸いもので、あっさりとした味わいが特徴です。一方、イナムドゥチは「イナ」が猪、「ムドゥチ」がもどきという意味を持ち、昔は猪肉を使っていましたが現在では豚肉を使って白みそでこってりと仕上げる沖縄料理です。

「てぃーち」のオリジナル商品「なかむどぅちそば」は、2つの沖縄伝統の汁ものを試行錯誤の末にバランスよくブレンドしたもの。ネギを中心に左側が中身汁、右側がイナムドゥチとなっており、それぞれの味わいを一度に楽しめます。

中身汁もイナムドゥチも単独で食べたことはあるのですが、ブレンドされているのは初めて。しかし、口に運ぶとまずイナムドゥチのこってり感が広がり、続いて中身汁のあっさり感が交互に顔を出します。徐々に2つが混ぜ合わさりコクが中心の味わいになっていく絶妙なバランスに、新しい世界に触れたような感覚になりました。

これだけでは終わりません!備え付けのゆずこしょうをいれると柚子の香りがフッと鼻に抜け、ピリッとした辛みが全体を引き締めます。シャープな沖縄そば、おもしろいですね。

とても興味深い一品。ぜひ「てぃーち」で体験してみてください。

ドカン!と存在感ある「てぃーち」の手作りシフォンケーキ「そのまんまセット」

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そのまんまセット(税込950円)

シフォンケーキはドカン!とホールサイズ「そのまんま」型に入った状態で登場します。手作りで保存料や化学調味料は一切使われていない、ギルトフリーな一品。
デザートのお供のドリンクは、カフェラテにしました。

食べ切れなかった分はお持ち帰りも可能なのであんしんですね。ふわふわのシフォンケーキを口に運び、ゴクッとドリンクを飲む。まるで小さな贅沢を味わう時間のよう。

さらにプラス100円で、クリームチーズ、ストロベリー生クリーム、りんごシナモン生クリーム、ブルーベリー生クリームのなかからお好みのトッピングも楽しめます。組み合わせ次第で、自分だけの特別な一皿にもできますよ。

マンゴー農園直送。氷不使用、マンゴー丸々2つを使った「てぃーち」名物マンゴーかき氷

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マンゴーかき氷単品(税込・900円)

マンゴー農園をされている店主・大城さんのお父さまのサポートもあり、「てぃーち」ならではのスイーツも充実しています。
農園で採れた完熟マンゴーをたっぷり使った「100%マンゴーかき氷」は、氷にシロップをかけるのではなく、凍らせた果肉(マンゴー2個分)を削った贅沢なかき氷。ジューシーな甘さが口いっぱいに広がり、食べるたびに果実の濃厚さを実感できます。

付属のレモン汁をかければ爽やかにあっさりと、練乳をかければこってりと濃厚に、味の変化も楽しめます。マンゴー本来の甘みを存分に味わえる、特別なかき氷です。

店主のアーティストを応援する想いと、家訓が原動力

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左(オレンジ色)・渡嘉敷鈴奈「黄昏の薄雲」 右(青)・屋比久瑞希「瑞華」
もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)
新垣萌々「ウムイ」 
もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)
仲宗根萌「幸せ降りつづく」

店主・大城勝太さんの原動力は、「沖縄のアーティストを応援したい」という想いにあります。ご自身も首里高校の染織デザイン科を卒業し、県外の美大へと進学。学生時代から同級生や仲間に恵まれてきた経験が根っこにあるのだそうです。

店内には、沖縄県立芸術大学の学生や大学院生による作品が飾られています。暖簾やコースターといった小物にも沖縄の伝統が息づき、細部にまで地域文化への敬意が込められています。
取材時(2025年8月)は展示会の最中で、紅型や花織といった染め織り作品がならび、その出展者の多くは県立芸大の染織カリキュラムを修了した若者たちでした。そのなかの一人は、現在「城間紅型」の職人として活躍しています。

展示されている作品を前にすると、ただうつくしいだけでなく、若い店主の願いと作家たちの歩みが織り込まれているようで、店内の空気まで明るく感じられました。

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)

幼少期を大宜味村で過ごし、自然豊かな土地で身の回りにあるもので、知らず知らずのうちに手を動かしてものづくりをしていた店主・大城勝太さん。幼い頃から培われた観察力と考える力は、いまも独特の感性として光ります。

就職活動を経験したあと、大城家家訓である「AかBで迷ったら楽しい方を選べ!」に従って、亡くなった祖父の家でお店を開く道を選びました。

楽しい選択をした大城さんのお店は、ご家族みんなで盛り上げています。
オープニングイベントでは、デザイナーである弟のISSHUNさんが手がけた衣装をモデル未経験の家族や知人が身にまとい、園庭をランウェイに見立てたファッションショーも開催されたそう。

アートと食、そして家族の温もりが重なり合った、「てぃーち」ならではの特別な空間に包まれるひとときを過ごしながら、沖縄ならではの芸術文化に触れてみてください。

Information

もう行った?「てぃーち」で味わう新感覚のそばと手作りスイーツ、そして心を癒す庭園(豊見城市)
てぃーち
住所
〒901-0223
沖縄県豊見城市翁長664-2
電話番号
098-856-8558
営業時間
月・火・水・金:11時~15時(L.O.14時)
土・日・祝:11時~15時30分(L.O.15時)
金・土:18時~22時(L.O.21時)
定休日
木曜日
駐車場
あり
クレジットカードの利用
電子マネーの利用
不可
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