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長嶺 真輝

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「負けを意味あるものに」岸本隆一の覚悟が現実に…貯金6で序盤戦終了、琉球ゴールデンキングスが歩む“正常な成長”のプロセス

佐土原が辿り着いた“新しいスイッチ”

「負けを意味あるものに」岸本隆一の覚悟が現実に…貯金6で序盤戦終了、琉球ゴールデンキングスが歩む“正常な成長”のプロセス
徐々に存在感が高まってきた佐土原遼。試合中の笑顔も増えてきた=11月16日(長嶺真輝撮影)

指揮官の言葉にも出てきたが、今シーズン加入した佐土原はチームの改善を象徴する存在だろう。18試合の中でのフィット感の高まりは目を見張るものがある。

ファイティングイーグルス名古屋で日本人エースを張った昨季は全58試合で先発を務め、平均で29分43秒出場した。一方、今季の先発は4試合のみ。主にセカンドユニットに回り、プレータイムは平均17分45秒に減少している。

佐土原自身、「長い時間出るのが当たり前、点を取るのが当たり前」という状況ではなくなり、シーズン当初は「短い時間で結果を出さないといけなくなり、テンションを上がりきる前に交代させられることもありました」と打ち明ける。シュートタッチの不調やターンオーバーの多さに苦しんでいたことは、それが要因の一つになっていたのだろう。

模索する中で辿り着いたのが、「ディフェンスで自分のテンションを上げる」という新しいスイッチの入れ方だった。

外国籍選手をマークできる程のフィジカルの強さは大きな武器だ。ターンオーバーを誘い、コースト・トゥ・コースト(一人でボールを運んでそのままシュートを決めること)を決める場面も増えてきた。

「今はディフェンスからテンションを上げられるようになったので、それが信頼にもつながって、プレータイムが伸びている実感があります。新たな自分を見つけたことでポジティブにプレーできています」

直近3試合は脇が復帰し、佐土原と共にコートに立つことでセカンドユニットのディフェンス力やスピード感が高まっており、チームの厚みが増している。ただ、佐土原はチーム力がさらに向上する余地があると見る。

「ディフェンスだけでなく、オフェンスも改善するべきところはいっぱいあります。攻守とも、このバイウィークでもっとレベルアップできる自信があります。大きくガラッと変えるわけじゃないですけど、見てる人から『ちょっと変わったな』と思われるようなバスケットをしていきたいです」

岸本が開幕戦後に口にした「意味のある負けに」という言葉は、18試合を経て、個々の選手、チーム全体の両方の視点から少しずつ現実のものになりつつある。

ただ、来年5月頭までのレギュラーシーズンは残り42試合と長い。チャンピオンシップ(CS)に出場するとなれば、さらに厳しい戦いが続く。シーズンの終わりに「意味のある負けだった」と言い切るための戦いは、まだ始まったばかりだ。

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