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ゲストスターターは仲間由紀恵さん!沖縄の南部路が熱気に包まれる1日…12月7日開催の「第39回NAHAマラソン」見どころを紹介
今年も沖縄の冬を彩る一大イベントがやってくる。
12月7日午前9時に那覇市の明治橋交差点をスタートする「NAHAマラソン」だ。那覇市と米ハワイ州ホノルル市の姉妹都市締結25年を記念して1985年に始まり、今年で第39回を迎える。
コース(日本陸連公認)は平和記念公園を中心とする那覇市、南風原町、八重瀬町、糸満市、豊見城市の本島南部5市町をぐるっと巡る42.195km。ゴールは奥武山陸上競技場で、制限時間は6時間15分。今年は約2万6千人の参加者がエントリーしている。
「太陽と海とジョガーの祭典」という愛称に違わず、大会はまさにお祭りだ。
沿道には老若男女、毎年多くの人たちが詰め掛け、声援や歌、踊り、食べ物の提供など多彩な方法でコースを駆ける人たちの背中を押す。この唯一無二の雰囲気が大きな魅力となり、県内、県外、海外のジョガーにファンは多い。ジョガー自身の仮装も大会に華を添える。
実際にコースを辿りながら、大会の見どころや魅力や紹介していこう。
情報に厚みを加えるため、筆者の大学時代の同級生で、20歳の時から20年に渡って出走し続けている高校教諭のかーげーさん(40歳)にも協力してもらった。今のところ、全て4時間台で完走中。今年も「もちろん参加する」とのこと。
目次
今年も会える豪華なゲストスターター
初めの見どころは、やはりなんと言っても、大会を一層盛り上げるゲストスターターの存在だ。万国津梁の鐘を打ち鳴らし、レースの幕開けを告げる重要な役割を担う。
導入された2001年の第17回大会で国仲涼子さん(俳優)が務め、その後も新垣渚さん(プロ野球選手)、宮里藍さん(プロゴルファー)、知花くららさん(モデル・俳優)、満島ひかりさん(俳優)、MAX(音楽グループ)、具志堅用高さん(プロボクサー)など豪華な面々が大役のリレーをつないできた。昨年の第38回大会はガレッジセール(お笑いコンビ)が担った。
そして今年は、沖縄が誇る大俳優である仲間由紀恵さんが務める。大会ホームページに記された本人コメントは以下。
「長く続かれているこの大会に参加できることをとても光栄に思います。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。皆さん!チバリヨー!」
こちらこそ、お会いできるのが楽しみです。という人ばかりだろう。仲間さんから元気をもらい、長旅に向けて大いなる一歩を踏み出したい。
スペシャルゲストランナーは、SNSの総フォロワー数が70万人を超える陸上インフルエンサーの志村美希さん。日本体育大学卒で、陸上800mで日本選手権など数多くの全国大会に出場している。大会を一層盛り上げてくれるはずだ。
ノリと体力温存のバランスが鍵を握る名物「YMCAゾーン」
国際通りやひめゆり通りを通過し、那覇東バイパスの約7km地点に近付くと、思わず体が動いてしまう軽快なメロディーが聞こえてくる。大会名物の「YMCAゾーン」だ。ちなみに、米国出身グループのVillage Peopleが歌う英語の方である。
「さあ皆さん、ご一緒に!」
ステージ上の男性の呼び掛けと同時に、コースを埋めるジョガーたちが走りながら一斉に「Y・M・C・A!」のジェスチャーを行う。その一体感は圧巻の一言。もし万が一、あのジャスチャーを知らない人がいたら、今から動画サイトなどで見て練習を積んでおきたい。
通過すると、「残りたったの35kmです!無駄な体力ありがとー」という温かい言葉で見送ってくれる。10km付近までの高低差は20mほどで、ある程度緩やかな道のりが続く。その後のプランや体力と相談しながら、ノリの度合いを判断したい。
かーげーさんは「YMCAが流れたらやるよな」というタイプだ。
黒糖、沖縄そば、チューチュー…充実の食べ物ラインナップ
YMCAゾーンもしかりだが、沿道の応援はNAHAマラソンを語る上で欠かせない要素だ。エイサーの演舞が音楽バンドの演奏など、ジョガーの足運びにリズムをもたらす。
私設エイドも含め、提供される食べ物のラインナップも実に多彩だ。沖縄グルメも多い。かーげーさんが言う。
「飴とか黒糖、みかん、スイカ、パインとかのフルーツ、凍ったチューチュー、干し梅干しとか、とにかくいろいろある。平和記念公園近くのそば屋は100円そばふーじーのカップが置いてる。泡盛も。さすがに終盤のしんどいポイントでは飲めないけど(笑)」
道のりは長い。計画的にエネルギーを補給しながら、着実に歩みを進めたい。
特に住宅地では、声援がほとんど途切れることなく続く。ジョガーと同じく、沿道に立つ人は子どもから高齢者まで年代は幅広い。応援する側も大会の「主役」と言われる所以だ。
「平和の尊さを」戦後80年、激戦地だった南部を走る
今年は戦後80年の節目の年。
沖縄戦で激戦地となった南部を巡るコース沿いには、平和記念資料館や平和の礎、慰霊碑などがある平和記念公園、ひめゆり平和記念資料館など、沖縄戦の実相を今に伝える施設が並ぶ。
那覇市はホームページで以下のコメントを発している。
「今年は戦後80年の節目の年です。緑豊かな南部5市町を駆け抜ける本コースは、沖縄戦の激戦地でもありました。国籍や性別を問わず、多くのジョガーのみなさまが励まし合いながらゴールを目指す中、沿道で応援するみなさまとともに、平和の尊さを改めて感じていただけることを心より願っております」
平和あってこその、スポーツイベント。コメント通り、平和の尊さを胸に刻みたい。
絶景を見てもう一踏ん張り!「名城ビーチポイント」
コースは10kmから20kmの地点まで登り基調が続き、ジョガーの体力を著しく削る。中間地点を越えた後の下り坂も足への負担が大きい。
そんな中、体力的にも厳しくなる27〜28km地点に、ジョガーの心に爽やかな風を吹かせる大会屈指の絶景ポイントがある。
ひめゆりの塔、琉球ガラス村を過ぎ、糸満市の名城ビーチ辺りだ。住宅街の道を右に曲がると、左側の視界が急に開ける。美しい東シナ海が広がり、一時足を止めて記念写真を撮る人も多い。気分を一新し、もう一踏ん張りする力を与えてくれるはずだ。
ちなみに、交通安全を呼びかける味わい深い人形もいる。可愛らしい目をしているので、こちらと記念写真を撮るのも一興かもしれない。
「ビール、ビール…」それぞれの奮闘理由
コース終盤には、沖縄都市モノレールの赤嶺駅付近の38km地点から登りが続く。緩やかではあるが、体力の限界に近いジョガーにとっては「最後の難関」と言えるポイントだ。
毎年完走しているかーげーさんにとっても、ここは例年変わらず「しんどい」と言う。
「赤道駅から登って、最後に下り坂もあるんだけど、ずっと頑張って走ってきた人からしたら、あそこの下りで足がガクンって止まるんだよな。もう少しでゴールなんだけど、精神的にはすごい遠く感じる」
そんな彼にとって、少しずつでも、着実に奥武山陸上競技場に向けて歩を進めていく最大の理由は、フィニッシュした後に飲む至極の一杯なのだそう。
「いや、もうね、終わった後のビールめっちゃ美味いよ。30kmくらいから、ほぼビールのことしか考えてない。なんなら『ビール、ビール…』って言いながら走ってるし」
もちろん、極限の中で奮闘する理由は人それぞれ。自己最速のタイムを更新するため、応援してくれる家族や友人のため…。前向きな気持ちを保ち、完走を目指す上では、需要な要素かもしれない。
沖縄の冬の風物詩として、ジョガーや応援する人たちに様々なドラマを生むNAHAマラソン。毎年、溢れる笑顔や涙、感動で包まれる。関わる多くの人たちにとって、忘れられない1日になってほしいものだ。
ちなみに、当日は南部の広域で交通規制が行われる。大会ホームページに詳細が記されているため、移動を予定している人などは事前にチェックしておきたい。
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