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くらしと経済編集部

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「ジビエ」が生む新しいビジネスチャンス

小林
こんにちは。小林美沙希です。
鹿肉などの狩りで得られる肉を指す、「ジビエ」。農作物の問題解決などの点から、新たなビジネスチャンスとして注目されているようです。
その最新事情について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

「ジビエ」が生む新しいビジネスチャンス

宮里
宜しくお願いします。

小林
今日のテーマである「ジビエ」は
なぜいま注目されるようになっているのでしょうか。

宮里
理由の一つに、野生の鳥獣による農作物の被害が深刻化していることがあります。
こういった問題を解決するために、農林水産省を中心に、国がジビエ振興に乗り出しています。
農作物の被害を防止するため、鹿や猪の捕獲が行われており、捕獲数は年々増加し、国内の農作物被害額は2010年度の239憶円から、2020年度には161憶円まで減少しています。

こうして捕獲された鳥獣に、食材としての価値を見出すことで、地域経済の活性化につながります。

猪・鹿の捕獲頭数と農作物被害額の推移

小林
なるほど。国ではどのような振興策を
進めているのでしょうか。

宮里
主に4つの振興策を出しています。
1つは、捕獲活動の強化やジビエを有効に活用する取り組みを支援するための対策交付金です。
2つ目は、捕獲から搬送・処理加工、販売に至る体制がしっかりと構築された「ジビエ利用モデル地区」を全国に展開していく施策で、今年2月現在全国に16のモデル地区があります。

ほかにも、「国産ジビエ認証制度」や、需要拡大のためのプロモーション活動があります。

ジビエ利用拡大に向けた国の振興策

小林
色々な方向からのアプローチでジビエ振興は進められているんですね。

宮里
そうですね。国や地方自治体の尽力によって、ジビエの資源価値が上がり、様々な業種で利用拡大を図る動きが活発化しています。
国内大手ハンバーガーチェーンでは、昨年鹿肉入りの高級ハンバーガーを数量限定で販売しました。

野生の鳥獣を廃棄することなく活用することで、循環型経済に貢献している企業として、SDGsに関心の高い企業であることもアピールしたい考えです。鹿肉バーガーは想定を超える売れ行きだったため、今年1月にも新製品を販売しています。

ジビエをめぐる新しい動き

小林
ハンバーガーチェーンでも食べられるようになると、更なる利用拡大に繋がりそうですね。

宮里
そう思います。
他にも、異業種からの参入もあります。大手警備会社では、2014年から駆除された猪などを回収する事業に乗り出していて、2020年には自社の加工施設を設け、食材に加工する事業の展開を開始しています。

警備会社ならではのノウハウを生かして、回収から出荷までを画像や位置情報で確認できる仕組みをつくり、行政への手続きも代行し、感染症の検査なども実施することで、販売先となる飲食店などからも信頼を得ています。
捕獲された鳥獣の肉は、ペットフードや動物園の餌としても活用されていて、骨や皮などを加工して製品化するといった取り組みも出てきています。

小林
国や地方自治体、企業が様々な方向からジビエにビジネスチャンスを見出して、さらに活用が広がっていくことに期待したいですね。

宮里支店長ありがとうございました。

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