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カギダンススタジアム2025で優勝した沖縄の小禄高校ダンス部を取材!「自分たちで考え、決める!」その強さに迫る
2025年12月31日(水)夕方6時から放送の『新しいカギ!6時間超え生放送SP~日本一たのしい年越し!~グランドオープニング』に、カギダンススタジアム2025で見事優勝を果たした沖縄県立小禄高校ダンス部が沖縄から中継で特別パフォーマンスを披露する。
この晴れ舞台を前に、OKITIVE編集部は小禄高校ダンス部を取材。日本一に輝いた舞台裏や、日々の練習にかける思いなどに迫った。
目次
小禄高校ダンス部の練習風景
取材を行ったのは、平日のちょうど夕焼けが空を染めはじめる頃。学校の外広場には、部員たちのにぎやかな声が少しずつ集まってくる。笑顔で言葉を交わしなたらも自然と列ができ、明るくも徐々に真剣な雰囲気になっていく。
小禄高校ダンス部の活動は、まず部員の出欠確認から始まる。その方法は少し独特で、部独自の出席表を作成し、日々の参加状況を細かく管理しているという。欠席の回数によってはイベントに出演できない場合もあるそうで、その仕組みからは、普段の練習一つひとつに真剣に向き合う姿勢と、高い意識のもとで活動している様子がうかがえる。
そして次に行われるのがミーティングだ。ミーティングでは、部長の宮城ゆめさんをはじめとする各リーダーが中心となり、その日の練習の狙いや全体の方向性を丁寧に共有。意見を交わしながら認識をすり合わせ、チーム全員が同じ目標に向かって動けるよう、入念な確認が行われていた。
そして、いよいよ本格的なフォーメーションやダイナミックな練習が始まるかと思いきや、まずはアップからスタート。最初はストレッチで体をほぐし、その後は筋力トレーニングへと移っていく。「ワン、トゥー、スリー、フォー…」と部員たちの大きな掛け声とともに、首、背中、腕、腹筋、脚と、部員たちは全身の筋肉をまんべんなく鍛えていた。
コーチのMARKさんによれば、「沖縄でいちばん筋肉をつけよう」という目標を掲げ、日々のトレーニングに取り組んでいるのだという。
また、ストリートダンス特有の「はじく」動きであるHit(ヒット)を取り入れたトレーニングや、ジャズダンスのしなやかな動きを取り入れたアップが行われる。
MARKさんによれば、これはダンスの表現の幅を広げるための狙いで、使えそうな動きはジャンルを問わず積極的に取り入れていきたいという思いがあるそうだ。
ようやくアップが終わった頃には、すでに練習開始から1時間以上が経過していた。コーチのMARKさんは、「高校ダンスで最も大切なのは基礎です。もちろんスキルや表現力も重要ですが、すべては基礎があってこそ」と語る。見ているだけでも大変そうなアップだが、部員たちは笑顔を絶やさず、明るくこなしている。アップ中は常に互いに大きな声で鼓舞し合い、全体を盛り上げる。その熱気と連帯感があるからこそ、つらいトレーニングも笑顔で乗り越えられるのだろう。
残りの時間は、部員たちがいくつかのグループに分かれて振り付けの練習に取り組んでいた。取材時には、近く迫る自主公演に向けたプログラムの練習を行っている最中で、各グループがそれぞれのパートを確認しながら丁寧に仕上げている様子だった。
コーチのMARKさんは各グループの練習を見守りつつ、細かく指示を出すというよりは、部員たちの自主性を尊重しながら適切なアドバイスを与えているように見える。後のインタビューで語ったところによれば、MARKさんは「コーチである自分が決めるのではなく、部員たち自身が考えて決めてほしい。自分はその手助けや道しるべになる存在であればいい」と考えているとのことだった。
公演が近くなると、公民館などでの練習もあるそうだが、平日の短い練習時間の中でも、明確に目標意識をもって練習に取り組んでいる小禄高校ダンス部。楽しく笑顔で練習に取り組む中にも、目標をしっかりもって自分たちで考えるというMARKさんのイズムがしっかり浸透している。
では実際に、部員たちはどのような思いで日々の練習に取り組んでいるのか。小禄高校ダンス部部長の宮城ゆめさんにインタビューを行い、率直な声を聞いた。
部長の宮城ゆめさんインタビュー!「不安はあったけど、自分がこの部を強くしていきたい」
―まずは、小禄高校ダンス部の部長になった時の率直な感想をお聞かせください。
宮城ゆめさん(以下:ゆめさん): もともと、小禄高校のダンス部に入る前からずっと憧れていた場所だったので、まさか自分たちの代になって、みんなをまとめる部長になるって決まった時は、正直不安でした。「本当に自分でいいのかな」とか。でも、なったからには、この小禄高校ダンス部を自分がまとめて、もっと強くしていきたいという決意はありました。
―現在、部員は何名いらっしゃるのですか?
ゆめさん: マネージャーも合わせて52名です。
―すごい人数ですね。宮城さんは高校に入学する時から、ダンス部に入ろうと決めていたのですか?
ゆめさん: はい。高校に入る前から「小禄高校でダンスがしたい」と思っていました。ダンスを始めたきっかけは、小学生の時に事務所の方にスカウトしていただいて、そこが提携しているダンススタジオに通い始めたことです。もともと友達がダンスをやっていた影響もあって、K-POPなどにも興味があったので、ずっとダンスをしたいという気持ちはありました。
絆が深いからこそ、何でも言い合える関係
―小禄高校ダンス部の雰囲気はどんな感じですか?
ゆめさん: 新しく入ってきた1年生が、みんな「先輩、やります!」みたいに、すごく積極的で明るくて元気な子たちが多いんです。それに対して2年生も、部活内では素を出していて。色々な経験をみんなでしてきているからこそ、2年生は絆もすごく深くて、何でも言い合える関係ですね。1、2年生合わせると、みんな明るくて面白くて、元気で活発なダンス部です。
―何でも言い合える関係だからこそ、練習中に意見がぶつかることもありますか?
ゆめさん: はい。作品を作る上で、やっぱりみんなそれぞれが想像しているイメージがあるので、「これやりたい」「あれやりたい」って意見が食い違ってくるんです。それを一つにまとめていくのが結構難しくて。あとは、練習中に集中力が途切れてしまう時もあるので、そこをどうにか自分の言葉で引き締めて、雰囲気を切り替える、ということもあります。でも、そういう声かけをしているのは私だけじゃなくて、周りのみんなもやってくれるので、そこはとても助かっていますし、いい雰囲気だと思います。
―部長として一番意識していることは何ですか?
ゆめさん: 自分のネガティブな面というか、元気がない時とか、気持ちが落ち込んでいるところは、みんなには見せないように、いつも明るく元気な部長でいたいなと思っています。あとは、部活内で落ち込んでいる子がいたら、声をかけにいって、この部活内に元気がない子がいないようにしたい。「闇のない部活」にしたいというか(笑)。みんなが過ごしやすい環境を作れるような人間になりたいです。
―ご自身が辛くなった時は、どうされているのですか?
ゆめさん: 部員の中に、幼馴染みの親友が2人いるので、その2人にはよく相談したりします。でも、周りにそういう姿は見せないと決めています。部長である自分がそういう気持ちを持っていると周りが知ったら、みんなが気を遣って私の様子をうかがったりすると思うので。そこは部長としての責任だと思っています。
優勝した時は、夢の中にいるような感じだった
―カギダンススタジアム2025で優勝した時は、どんな気持ちでしたか?
ゆめさん:まず実感がまったくなかったです。まさか自分たちが全国的な番組で日本一を獲れると思っていなかったので、優勝が決まった瞬間は、頭が一度静止しました。びっくりしすぎて、信じられなさすぎて、涙も出なかったんです。ステージに立っている実感もあまりなくて、緊張もしませんでした。ずっと夢の中にいるような、ふわふわした感じで。沖縄に帰ってきて、放送を観た友達や周りの人たちに声をかけてもらったり、SNSで自分たちの動画が投稿されているのを見たりして、ようやく「本当に優勝したんだ」って実感が湧いてきました。
部員から見たMARKコーチ
―MARKコーチは、皆さんにとってどんな存在ですか?
ゆめさん: MARKさんは、まず本当におしゃべりです(笑)。そして、いつも私たちのことを考えて動いてくださいます。夜遅くまで、どうすれば私たちが最高のパフォーマンスができるかを考えてくれているんです。それに、ダンスのことだけじゃなくて、プライベートの話や将来の話についても、経験豊富なので色々なアドバイスをくれます。ダンスの技術だけじゃなく、人間性や人生経験についても、MARKさんからたくさん学んでいます。もう、お兄ちゃんというか、家族みたいな感じです。
―練習中は厳しかったりしますか?
ゆめさん: 練習で怒ることは絶対にしない、というのがMARKさんのモットーみたいです。
―小禄高校ダンス部の「強さ」とは何だと思いますか?
ゆめさん:県内の他のダンス部と比べても、アップがきついので、フィジカル面はみんなとても強いと思います。あとは、みんなが素を出せる環境だからこそ、作品に対しても「こうしたい」「ああしたい」というこだわりを強く持って意見を出し合えること。みんなが妥協せずに意見を言うから、最高のパフォーマンスができる作品が生まれるんだと思います。
小禄高校ダンス部 取材後記
取材を通して見えてきたのは、小禄高校ダンス部の強さの根底にある「自分たちで考え、決め、進む力」だった。
厳しい基礎練習も、意見がぶつかる場面も、すべては日本一という目標に向かうための大切なプロセス。その中心には、部員一人ひとりを信じ、導くMARKコーチの存在と、仲間を思い、前を向き続ける部長・宮城さんの姿がある。
沖縄から全国へ。彼女たちのダンスは、技術や迫力だけでなく、積み重ねてきた想いと絆をのせて、多くの人の心を動かすはずだ。大晦日の生放送で披露されるその一瞬に、きっと小禄高校ダンス部の強さが詰まっているだろう。
小禄高校ダンス部が沖縄から中継でダンスを披露する『新しいカギ!6時間超え生放送SP~日本一たのしい年越し!~グランドオープニング』はフジテレビ系列(※一部地域を除く)にて12月31日(水)よる6時から放送。
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