グルメ,本島南部,洋食・西洋料理,那覇市
滋味深くしみわたるカラブリア料理を沖縄で!あたたかな味わいと雰囲気が心地良い「JOJO’S 南イタリアの家庭料理バル」(那覇市)
ゆいレール牧志駅から県庁方面に向けて国際通りを歩き、ホテルコレクティブ手前の脇道を公設市場へと続く細い路地を進んでいくと、はためく緑・白・赤のトリコローレ(イタリア国旗)が目に入る。少し懐かしさを覚える民家のような佇まいの入り口をあけると、そこからイタリアの風が吹き抜けてくる。
「JOJO’S 南イタリアの家庭料理バル」(以下、「ジョジョズ」)は、イタリアの南部にある地域・カラブリア州の家庭料理を楽しめる店だ。営んでいるのはカラブリア州出身のチャンチョ・ジョエル(通称:ジョジョ)さんと藤田美晴さん。2人の朗らかな雰囲気に彩られた店内は、いつも穏やかな賑やかさで満ちている。
「日本人向けのアレンジは基本的に一切しなくて、イタリアのレシピそのままに作っています。南の料理、特にカラブリア料理は美味しいのにあんまり知られてないから、もっとみんな知ればいいじゃん!という気持ちでやっています」
そうこだわりを語るジョジョさんの手料理は「沖縄で食べられるカラブリア家庭料理」として、かなり稀有な存在と言っていいだろう。
目次
“#肉は空気”を「ポルペッテ」で体感せよ
早速だが、先ずはジョジョズで食べてほしいひと皿を紹介しておきたい。それがこの「ポルペッテ」だ。
ポルペッテとは、簡単に言うとミートボール(肉団子)のこと。ひき肉を丸めてトマトソースで煮込み、たっぷりのチーズとバジルを添える。この構成要素の時点で美味いことがほぼ確定しているのだが、ジョジョズのポルペッテの最大の特徴は信じられないくらいにふわっふわでエアリーな食感にある。
口の中に放り込むと、塊としてぎりぎりの固さで形を保っていたひき肉のつなぎが瞬間的にほどけ、想像の数段階上をいく柔らかさと口溶けの感覚に目を見開くだろう。
その極めて軽い食べ心地にも関わらず、しっかりとした満足感を覚えるのはトマトの凝縮した旨味と酸味にチーズのコクが合流し、バジルの爽やかさでまとめ上げられているから。濃厚なのに軽やかなので、いくらでも食べられそうに感じてしまう。
写真を撮って食べ終えたなら、是非「#肉は空気」(ジョジョさん公認)というハッシュタグをつけてSNSにアップしてほしい。
ジョジョさんの故郷「カラブリア」
ここでちょっとだけ「カラブリア州はどこにあって、どんな所なのか」という補足情報を差し込んでおこう。
カラブリアはイタリアの南端にある州で、半島の形をブーツに見立てると「つま先」の辺り。メッシーナ海峡を挟んだ目の前にはシチリアがある。海も山も双方の風景を楽しめる自然が豊かな地域で、ジョジョさんの祖母は料理を作る前、ふらりと外に出て野菜を摘んでいたという。
「おばあちゃんはいつも家の周りで野菜を調達しているんですよ。野生のアスパラとかチコリとか。苦味とかエグみとか、そういう風味も全部含めて私にとっては『地元の味』なんですね」(ジョジョさん)
メニューに並ぶあまり見慣れない名前は、ジョジョさんが祖母や父親から受け継いだ故郷の家庭料理たち。
イタリア国内の人たちでもあまり口にすることのないカラブリア料理や、手打ちの生地を1本1本整形していくパスタ、塊肉のカットから仕込むサルシッチャ(ソーセージ)など、地元素材と自家製食材が乗る料理のひと皿ひと皿はあたたかく滋味深い。
「料理しているところを隣で見ていると、仕込みの時に味見して『あぁ、最高だねえ』『この料理を食べられるのって幸せだよね』っていつも言ってるんですよ(笑)その感じがとても良いなって思ってます」(美晴さん)
「カラブリア盛り合わせ」で“名物”のトウガラシ使いを堪能
カラブリアの食文化の大きな特徴は、トウガラシをよく使うことだ。
と言っても、全てが激辛料理というわけではない。辛さだけではないトウガラシの芳香と、素材に凝縮された“ダシ”のような旨味の奥行きが感じられるよう、素材に合わせた絶妙な効かせ具合になっている。
そんな“トウガラシ使い”を存分に堪能できるのが「カラブリア盛り合わせ」で、こちらもジョジョズを訪れたら外せない一品だろう。
トウガラシと豚肉の脂身などを混ぜ合わせて腸詰して熟成させたペースト状のサラミ「ンドゥイヤ」、生しらすをトウガラシで漬け込んだ“カラブリア風チャンジャ”的なテイストの「ロザマリーナ」、野菜とトウガラシのペースト「ボンバ」、トウガラシが練り込まれた羊のチーズなどが並ぶ(内容は仕込みなどの状況によって時折変わることもある)。
ちなみにンドゥイヤのバリエーションとして、目玉焼きと一緒に食べるその名も「ンドゥイヤ目玉焼き」がある。濃厚な味わいのンドゥイヤを、くずした目玉焼きと一緒にパンにのせてかぶりつく。当然、ワインが進む。想像しただけで悶絶するメニューだ。
食堂のような、居酒屋のようなイタリアン
「私自身が自分1人でも気軽に食べに行きたいな、っていうイタリアンのお店をやりたかったんです」
こう話すジョジョさんの理想の店の形は、イタリアで言う「トラットリア」や「オステリア」といった、いわば食堂や居酒屋のようなワイワイとした気取らない場所だという。4年目に突入している現在の客層は、リピーターが約8割。
1度食べて虜になった人たちは美味しさへの興味とワンダーに導かれ、全てのメニューを制覇したい思いに駆られるはずだ。
「故郷の味を楽しんでくれる人たちがたくさんいると、とっても仕事がやりやすいんです(笑)」とジョジョさんは笑う。
「お店は今、結構幸せな感じで嬉しいです。こういうお店で良かったって思ってます。やりたかった理想のお店に近いですよ」
理想に近い形の店を実現した後、これからについて2人に聞いてみると「自分たちの手をかけたもの」を提供していきたいという。
「野菜などの食材を自分たちで育てて、少しでもいいからそれを料理にしていければなと思ってます。具体的にどれぐらい作ることができるのか分からないけど、いつかはそんな風にやりたいなって」(美晴さん)
「自家製のものをもっともっと増やしたいですね。ンドゥイヤとかサルシッチャだけじゃなくて、ジェラートとかも、まだまだ色々試してみたい。ちょっと大変ですけど、自分の手でやった方が自分が出したかった味に1番近づきますから」(ジョジョさん)
ひと口食べて頬を緩ませて、ワインを飲んで会話を楽しんで、那覇にいながらにしてカラブリアへの旅を楽しめる場所は、JOJO’Sの他にない。手間をかけて作るジョジョさんの手料理の温もりが、沖縄の片隅とイタリアの南端とをつないでいる。
Information
- JOJO’S 南イタリアの家庭料理バル
- 住所
- 沖縄県那覇市松尾2-5-20
- 電話番号
- 080-8857-9556
- 営業時間
- 平日:17時〜
土日:15時〜 - 定休日
- 木曜(+不定休)
- 駐車場
- なし
- クレジットカードの利用
- 可
- HP・SNS
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