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松永 多佳倫

松永 多佳倫

沖縄の怪物候補・長山武蔵とは何者か?最速147キロの剛腕&豪快な打撃!ドラフト注目の二刀流に迫る

沖縄が誇る“二刀流”日本ウェルネス沖縄の長山武蔵は、日本人離れした体格とスケールの大きさでNPBに旋風を巻き起こせるのか

実際の寸法より身体が大きく見えるのは、チームスポーツのアスリートにとって何よりの武器だ。

名前の由来である剣豪・宮本武蔵のようにひときわ存在感がある日本ウェルネス沖縄の長山武蔵は、アメリカ人の父親の遺伝もあってか手足が長く、身長182センチ、体重85キロ、見るからにナイスガイといった骨太の巨漢体型だ。
運命のドラフトを迎え、まさにまな板の上の鯉といった心境の長山は、「あとは天に任せる」といった感じで取材日も練習に励んでいた。

沖縄市立宮里中学時代、県でベスト4に入ったことで県内の強豪校から多数の勧誘があった。
なぜ日本ウェルネス沖縄を選んだのかを尋ねてみると、体格も顔立ちもしっかりとした長山は、にっこりと白い歯を見せながら静かに語った。

「野球を始めたときからプロに行きたいという思いがありました。野球に集中できる環境なのがウェルネスのいいところで、この高校に入学したらプロに行けるっていう思いはありました。
甲子園に行くことは叶わなかったですけど、どうせ行くなら自分の力で強いところを倒していきたいっていう思いがあったのと、自分のやりたい感じの野球ができる場所がまさにここでした」

父親がジムを経営していることもあって、筋力・持久力・柔軟性・瞬発力などさまざまな実用的動作を総合的に鍛える“クロスフィット”と呼ばれるフィットネスを、幼少期から見よう見まねでやっていたことで、巨漢の身体に似合わず俊敏性やスピード、パワーが養われていった。

運動能力の成長期であるゴールデンエイジ(5歳から12歳)にこうしたトレーニングを行うことが、アスリートにとって天稟が大きく開花するかどうかの分岐点になるのは間違いないようだ。

目次

甘いルックスで投げてはMAX147のパワーヒッター

沖縄が誇る“二刀流”日本ウェルネス沖縄の長山武蔵は、日本人離れした体格とスケールの大きさでNPBに旋風を巻き起こせるのか

長山がスポットライトを浴びたのは、高校2年秋季大会。
5試合戦って、20打数11安打、6打点、1本塁打、打率0.571と猛打を振るい、準優勝に導いた。そして、きわめつけは九州大会準々決勝熊本工業戦。
初回、2アウトで三番の長山がゆっくりと打席に入った。1ボールからの2球目の内寄りのストレートをジャストミートしライトスタンドへと運ぶ。

「あれは、当日の朝、監督さんから『今日はピッチングを100という考えで、バッティングは求めないから休み時間にソフトボールをやるような遊んで打つぐらいの気持ちでいいから』と言われて、じゃあいいかと思って力が抜けてスパッってバットが出たって感じです」

この年、沖縄尚学が夏の甲子園優勝し、末吉良丞、新垣有絃という全国トップクラスのピッチャーが県内に君臨。まさに、末吉、新垣vs長山武蔵の対決は沖縄高校野球ファンにとっても垂涎の的となったが、公式戦、練習試合で一度も対決することはなかった。

U-18候補合宿で剛腕末吉からレフトオーバーの二塁打

沖縄が誇る“二刀流”日本ウェルネス沖縄の長山武蔵は、日本人離れした体格とスケールの大きさでNPBに旋風を巻き起こせるのか

惜しくも選抜甲子園に選ばれなかったが、この秋季大会の活躍により4月3日から行われたU-18候補合宿に参加し、ここでもスカウト陣にアピールする。
シートバッティングで沖縄尚学の末吉良丞と対決し、末吉が投げた渾身の外寄りのストレートを逆らわずにレフトオーバーの二塁打を放ったことで、長山武蔵の名が一気に高まった。

「前日のシートバッティングでは全然打てなかったんです。みんな、沖縄でなかなか見ないようなボールを投げるんで全然ついていけなかったんです。
それでも、持ち味であるスイングを変に合わしたくない気持ちがあったので、ついに出た一本って感じでした。末吉は、同じ沖縄として意識はしていたんで打ててよかったなって感じです」

高校3年間で対戦してすごいなと思った投手は誰かと質問すると、長山は少し遠くを見つめながら考えた。無理矢理ひねり出すのもなんだから「いなかったらいいですよ」と言うと、満を持して口を開いた。

「バッターボックスに立ってはいないですけど、やっぱり織田(翔希)君の球だけは一人別格って感じでした。
バッターボックスに立って、すげえなまではいかないですけど、打てないなって思ったのは高岡第一の前田(侑人)君。まっすぐで150投げるって聞いてたんで準備してました。
見えはするんですけど手が出なくて、次のストレートを狙っていたらスライダーが来て全然当たらなくて三球三振でした。
同じ左の末吉と比べると前田投手はシューって綺麗な球筋で来る感じなんですけど、末吉はなんか弾丸っていうか鉛が飛んでくる感じでガァンッて来ます。
速く感じたのは末吉です。もちろん前田投手もめっちゃ速いしいい球でしたけど、自分的にはボールが見えていたので」

この発言を聞いていても、ドラ1候補の織田翔希であろうと前田侑人であろうと、慣れてこれば打てるという自信がうかがえる。
プロに行くスラッガーはこうでなくてはいけない。
もはや体つきが出来上がっているだけに、長山の未知なるポテンシャルの開花を期待せざるをえない。

ピッチャーだろうとバッターだろうと目指す道はひとつ

沖縄が誇る“二刀流”日本ウェルネス沖縄の長山武蔵は、日本人離れした体格とスケールの大きさでNPBに旋風を巻き起こせるのか

意中の球団があるのかと尋ねてみると、長山は慎重に言葉を選びながら答えた。

「沖縄にチームがあるわけじゃないし、特別に贔屓にしているチームはこれといってないです。
セ・リーグ、パ・リーグ関係なく、選んでいただけるなら、その球団の環境下で一生懸命プレーして頑張るだけです。
好きな選手はいます。ニューヨーク・ヤンキースのジャズ・チザム・ジュニアです。ホームランを打つときの雰囲気もそうですけど、打った後のフォロースルーからすべてがめちゃくちゃかっこいいですよね」

パ・リーグのスカウトは「しっかり振り切っているため打球が伸びていくし、スケールの大きさを感じさせる」とバッティングに高い評価を与え、同様にMLBのスカウトも「スイングも綺麗でパワーを感じさせる」とプラスの査定をしている。

「二刀流として見てくれている球団もあれば、バッターで育てたいという球団、ピッチャーで育てたいという球団もあります。
まだ自分から何をやりたいと言える立場じゃないので、まずは結果を出すことが先決です。
バッティングもピッチングも両方好きなので、指名された球団の意向に喜んで合わせ、結果を出していきます」

甲子園には出られなかったが、スケールの大きさと独特のオーラを纏う長山武蔵に、大いなる期待を抱かずにはいられない。
NPBのどの球団が指名するのか――運命の22日まで、残された時間はあとわずかだ。

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