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OTV報道部

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森岡毅氏率いる刀が推進する沖縄北部テーマパーク事業への投資ファンドが組成。テーマパークについて当事者3人にあれこれ聞いてみた

日本屈指のマーケター森岡毅氏が率いる株式会社刀が沖縄北部新テーマパークの2025年の開業に向け着々と作業を進めている。
そんな中、2022年6月、刀や沖縄の地元企業によって作られた準備会社ジャパンエンターテイメントは、沖縄県の中小企業を支援しているSCOMと協議を重ね、SCOMが運用するファンドを通じて県内の中小企業がこのテーマパーク事業に出資できることを発表した。

この事業が沖縄にとってどのような意味を持つのか。またこの新テーマパークが今後どのようなテーマパークになり、沖縄にどのような影響をもたらすのだろうか。
森岡毅氏が右腕的存在と認め、準備会社ジャパンエンターテイメントの代表取締役を務める加藤健史氏に話を聞いた。

テーマパーク設立の意義 “沖縄に持続可能な事業を作りたい”

Q.ファンドを設立した意図は何か?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「私たち刀は、『マーケティングとエンターテイメントで日本を元気にしたい』というビジョンを掲げています。これまでも刀は数々の企業やテーマパークをマーケティングの力を生かして再生してきましたが、私たちが初めて手掛ける事業として、まずは沖縄に持続可能な事業を作っていきたい。」

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「持続可能な事業はどのように実現できるのかというと、1つはこの地域の価値をブランディングした上で県外、国外の人に知ってもらうこと。そして2つ目が事業として成り立った時に、継続的に地域の方と一緒に事業を継続できるということがポイントです。そして私たちはこの持続的な事業を成功させることで3つの貢献をしたいと思っています。」

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「1つ目はこの北部地域経済への貢献。もう1つが沖縄観光産業への貢献。そして最後は観光立国日本への貢献。この3つを掲げています。その中で今回の事業を今多くの株主の皆様方に応援をいただいておりますが、さらに多くの地元・沖縄の会社様に入っていただけるような仕組みを作りました。」

テーマパークで地元に何がもたらせる? 3つの特性とは

Q.このテーマパークができることによって沖縄県民にとってどういったメリットがある?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「私たちはこのテーマパークの3つの特性をもっていると考えます。

1つは、強い経済波及効果です。
テーマパーク事業というのは、消費者の方に対して地域の価値を体験として提供できるだけでなく、地域の物産や農産物を飲食事業物販事業に展開するという方法もあります。また地元の観光事業者様やホテルの事業者様、そういった方々と連携しながら集客に繋げていくような協賛ビジネスというような形をとることができます。この方法をとることで地元への経済波及効果を大きくすることができると考えます。

もう1つは、雇用の創出効果です。
多くの経済波及効果をもたらすからこそ、そこにはそれだけの仕事が生まれますので、必然的に雇用が生まれます。

最後に、人材を育成できるという特性です。
この事業を運営していく上で我々が持つマーケティング力やファイナン力、エンターテイメントを実際にオペレーションする力など、様々な業務を通して多くの力を身につけられるような環境を作り出すことが可能だと思っています。」

Q.そもそもなぜこの沖縄に注目したのか?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「私が沖縄に魅力を感じた最初のきっかけは、USJに在籍していた時に沖縄で事業ができないかということを検討したことです。その時調査した結果、沖縄は多くの可能性を秘めていると考えました。
その理由は主に2点あります。

1つはこの沖縄の地理的な優位性です。この半径4時間圏内の中には20億人の人口がいるという状況であり、かつその国々は今後大きく発展していくとみられます。そこから南国のリゾートに行きたいという需要をどんどん生む構造にそもそもあるというこの構造的な要因というのは沖縄の強みの1つだと思っています。」

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「2つ目は沖縄には良いところがたくさんある。世界でも屈指の透明度のある海をはじめ、世界遺産に選ばれるようなやんばるの森もある。こういったアセット(資産)がたくさんある中で、沖縄に行きたいと思う人がどんどん増えていくことに沖縄のポテンシャルを感じました。」

Q.加藤さんがUSJ在籍時代、沖縄のテーマパークの構想を断念したと思いますが、なぜ新たに違う会社でこの沖縄にテーマパークを作ろうと思ったのか?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「USJ時代に構想していたテーマパーク事業を断念した時に、地元の方々に『今回一旦検討をストップします』ということを伝えた時、『沖縄にそんなにポテンシャルがあるのか』『このUSJの事業が沖縄という地で注目されたことで、沖縄に価値があるんだということを再認識できた』『機会があれば再度チャレンジしてほしい』と温かいお言葉をいただいて、私の中では、どんな形であれ、またチャレンジしたいなという思いがありました。」

Q.これまで、沖縄の観光業の問題点として観光客1人当たりの平均消費額と平均滞在日数と言われているが、このテーマパークができることによってこの問題がどのように解決できるのか?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「我々が調査を通して見えてきたことは沖縄全体の観光の重心が南部にあると考えています。
当然北部には美ら海水族館といった素晴らしい施設はありますが、旅行者の具体的な動きを見ていると、南部から北部の方に行って、短時間過ごして南の方に帰ってきてしまうという行動パターンが我々の調査では見て取れます。」

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「このような状況が続く中で我々の施設を作り、北部にある様々な事業者と共に観光客の北部に滞在する時間を延ばすことが結果的には沖縄全体の滞在時間を延ばし、延泊する需要というのを喚起できるのではないかと考えています。
この結果、観光客一人当たりの平均滞在時間と平均消費単価を構造的に作れると思っています。」

コンセプトは “一生記憶に残るような体験を提供”

Q.このテーマパークはどういったコンセプトになるか?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「中身について具体的に言及するところは難しいですが、少なくとも沖縄に来県される方々にとって、このパークを通して一生記憶に残るような体験を提供していきたいです。観光客の方々が沖縄の大自然の中で『自分自身を思いっきり開放し、発散してリフレッシュできる』そういった価値を我々が提供します。自然の地形をそのままテーマパークに取り入れながら、都会では実現できないスケールで事業を展開していきます。」

Q.長期的に見た時、この先このテーマパークを起点に沖縄はどのように変化していくと思うか?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「今回の取り組みは120ヘクタールの土地を借りて、その内の半分で事業をスタートする予定です。この事業を始めるにあたり、沖縄の数十年後の発展を見たら小さな一歩だと思います。しかし今後、北部にたくさんの人が滞在をしていくということが構造的に作ることができれば、そこに多くの事業者様のチャンスというのが生まれてくると思います。
そのためには、何よりこの事業をまず確実に成功させること、そしてこの事業を起点とした他の事業者が豊かになること。こういった未来を想像しながら取り組んでいます。」

Q.確実に成功させることが重要ということでしたが、この事業を成功させるためには何が必要になってくるのか?

ジャパンエンターテイメント 加藤健史代表取締役
「私はテーマパークをそういう意味で成功させる上では、4つのポイントがあると思っています。

1つが消費者を惹きつける強いアイディア、行きたいと思わせるアイディアそのものです。

2つ目がそれを実現できる場所が必要です。十分に将来を考えて必要な場所の確保というのが必要です。

3つ目はそれを実現する資金です。

この3つについては我々の得意とする分野で、実現できる要素であると考えています。
ですが、実は4つ目に、一番重要なのは、地元の皆様との協力というのがこの成功の最大の要素だと思っています。地元の方の理解を得て、一緒に作っていけるのか、勝手に事業を展開して周りの方にご迷惑がかかるといったことでこの事業に対して理解が得られてないと、この事業は成立しません。だからこそ、市町村の方々と連携協定を結ばせていただきなが協力してこのテーマパークを作りたいと考えています。

沖縄県内の経営者が寄せる期待

今回刀やジャパンエンターテイメントが推進する北部のテーマパークに対して、県内の中小企業が投資できる投資ファンドを立ち上げたSCOMの取締役2人にも話を聞いた。
2人は現在も経営者として活躍しながらも、このSCOMにも取締役という形で在籍し県内の中小企業にも投資し、経営ノウハウを共有し支援している。

Q.この投資ファンドにはどういった人が参加してほしいか?

SCOM 上間喜壽取締役(上間フードアンドライフ会長)
「そうですね。僕らは今回ぜひ参加していただきたいのは、まず沖縄の県内企業様です。これまでこのような大型のプロジェクトは沖縄でもリゾートホテルなど開発されてきました。しかしよく身近な人から『沖縄県民は県外の大きなプロジェクトに関わることができなくて、蚊帳の外に置かれているような気持ち』だという声が聞かれていました。
ただそういった中で、今回刀さんは『この事業をぜひ沖縄県民と一緒に取り組みたい。』と言っています。彼ら(刀)は勝手に沖縄に来て、この沖縄という場所で勝手にビジネスをやって、お金だけ儲ければいいとは全く考えていません。それこそ『一緒に当事者となって盛り上げていきたいんだ。』そういうことをずっと当初から聞いていて、この事業は僕ら沖縄県民にとってもすごく前向きな話だと僕は思っています。」

Q.なぜ今回、SCOMは刀と手を組もうと思ったのか?

SCOM 上間喜壽取締役(上間フードアンドライフ会長)
「一番最初の理屈は結構シンプルです。もちろん沖縄の経済のためにという大義はあります。一方で森岡さんという存在も大きかったです。日本でマーケティングを学ぼうと思ったら誰もがまずは森岡さんの本を読む。そういったマーケティングのトッププレイヤーがここまで沖縄を高く評価して下さって、全身全霊でこの事業にチャレンジしたいと言ってくださるということは沖縄県民が改めて、沖縄の魅力を理解できる良いタイミングだと思っています。」

SCOM 比嘉良寛取締役(Payke取締役)
「やはり、正直沖縄からこの規模感のあるプロジェクトというのはなかなかありませんでした。さらにそこに株主という利害関係もありながら、積極的な立場で関わっていけるというのは本当になかなか無い機会だと思います。この機会を通じて、その沖縄の成長に貢献して、そしてその成長から利益を得ていく。これは非常に大きな、とても良いことだと思います。」

Q.この事業に対してどのような期待感を持っているか?

SCOM 上間喜壽取締役(上間フードアンドライフ会長)
「今回のテーマパークプロジェクトに関して、SCOMとしては非常に期待値が高いです。この事業が成功すれば沖縄県全体にとってものすごく良い影響が出てくる。
沖縄の観光産業は新型コロナウイルスの流行で非常にネガティブな影響を受けました。しかし、一つはっきりしたことは、やはり沖縄という地は今も観光産業が非常に大きな柱になっているということです。これを今後どのように発展させていくかが、沖縄県経済にとって重要だということはもう改めて認識されたと思います。そういった状況下で、この事業は沖縄にとっても日本にとっても大きなインパクトをもたらすのではないでしょうか。」

Q.今まで沖縄は沖縄戦や基地問題といった面で苦しめられてきた過去があるが、今後は観光を通して日本をリードしていくと思うか?

SCOM 上間喜壽取締役(上間フードアンドライフ会長)
「おっしゃる通りです。これまで日本はそこまで観光業に対して積極的には取り組んでいませんでした。しかし、日本は2022年5月に発表されたダボス会議の経済評価の中で、観光資源が一番の国であると評価を得ています。ですが、まだ日本はその可能性に気付いてない部分が多いと思います。そういった意味でも、沖縄の価値を外に届けられるプロジェクトという意味において、観光業というのは今後、沖縄にとっても日本にとっても大きくなるということは間違いないと思います。
なのでその日本の観光産業の成功事例を作っていきたいというのが本プロジェクトの重要なポイントだと思ってます。この事業はまだ始まったばっかりのプロジェクトですが、時代を変えていくようなものだと思います。沖縄観光時代の到来です。」

SCOM 比嘉良寛取締役(Payke取締役)
「今後は日本がこの先、経済的に豊かになるための外貨を獲得する手段として今後一番有効なのは観光だと思っています。沖縄のコアの産業はこれからも観光であることに変わりはないと思うので、今後はこの事業を通して観光産業がブラッシュアップされて、沖縄が日本で一番レベルの高い観光立県となると思います。」

取材:沖縄テレビ報道部記者 延総史

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