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くらしと経済編集部

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培養技術と3Dプリンターから作る牛肉の可能性

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今日は「培養技術」と「3Dプリンター」から作る牛肉の可能性について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

培養技術と3Dプリンターから作る牛肉の可能性

後間
「培養技術」と「3Dプリンター」から牛肉を作るということですが、そんなことが本当にできるんでしょうか?

宮里
はい。ウシなどから取り出した細胞を育ててこれを素材として3Dプリンターで重ねていくことで、食べるための牛肉を人工的につくることが 理論上では可能と考えられています。
このように 動物の細胞を採取して 研究室などで培養によって増やし、 増やした細胞で肉の組織を形成したものは「培養肉」 と呼ばれ次世代の食肉として注目されています。

培養技術と3Dプリンターから作る牛肉の可能性

後間
なるほど。最近は大豆などを原料にした代替肉などもよく見かけるようになりましたが、それとは別のモノということですね。では、その培養肉の開発は、日本国内においてどのような段階にあるのですか?

宮里
国内での研究事例を2つご紹介します。まず一つ目は、大阪の大学の事例です。
この大学では、和牛肉の組織構造を設計図として培養肉で筋肉や脂肪、血管の繊維をそれぞれ3Dプリンターで作製しこれらを束ねて和牛の肉の構造を作る技術を開発しました。

培養技術と3Dプリンターから作る牛肉の可能性

続いて2つ目は、東京の大学が食品メーカーと共同で進めている事例です。こちらでは、牛の『ほほ肉』の細胞を「すのこ」のような溝の入った容器の中で培養する研究を行っています。
この図のように、細胞が溝に沿って同じ方向に結び付きながら広がることで薄いシート状になります。
そのシートを何枚も重ねることで、ステーキ肉のような厚みや立体的な構造を再現するというものです。

培養技術と3Dプリンターから作る牛肉の可能性

後間
技術的な進化が加速しているようですね。
人工的に肉を再現できるのであれば、食品だけでなく医療分野でも活用できそうですね。

宮里
おっしゃるとおりです。この東京の大学では10年以上にわたって細胞から体の組織を作る再生医療の研究を続けており、その知見が培養肉の技術に生かされています。

後間
培養肉の技術は、様々なテーマと密接につながっているんですね。

宮里
そうですね。そもそも今、培養肉や植物由来の代替肉などが注目されている背景には、3つの世界的な社会課題や環境問題があります。一つ目は、世界の人口増加と、それに伴う食糧需要の高まりです。
続いて2つ目は食肉の増産にともなう環境問題です。培養肉の生産には広い牧場もたくさんの家畜も必要ないので、地球環境への負荷を抑えることができます。
そして3つ目は、食の安全・安心についての関心の高まりです。畜産業において感染症対策などで抗生物質を投与することがありますが、培養肉はそうした抗生物質を使うことなく生成できる面からも注目されています。

培養技術と3Dプリンターから作る牛肉の可能性

後間
今後の動向に注目ですね。宮里さんありがとうございました。

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