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くらしと経済編集部

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新たな旅の形『サステナブルツーリズム』

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今月は新たな旅の形「サステナブルツーリズム」について、野村證券那覇支店の石山昇平さんに詳しく伺います。
よろしくお願いします。

石山
よろしくお願いします。

新たな旅の形『サステナツーリズム』

後間
早速ですが「サステナブルツーリズム」とは、どういった意味なのでしょうか。

石山
はい。サステナブルは「持続可能な」、ツーリズムは「観光旅行、観光事業」を意味しますので、「サステナブルツーリズム」は「持続可能な観光」という意味になります。

「国連世界観光機関」ではサステナブルツーリズムを「訪問客、産業、環境、受け入れる地域の需要に適合しつつ、
現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光」と定義しています。

具体的には「自然遺産や生物多様性を保全しながら、環境資源を最適な形で活用すること」、「訪問客を受け入れる地域の社会や文化、伝統的な価値観などを守って異なる文化を理解すること」などが求められています。

後間
そうなんですね。
では、こうした考え方が生まれた背景はなんですか。

石山
はい。この背景には「このままではいけない」という危機感の高まりがあります。
これまで富裕層に限られていた観光旅行は、1950年代から広く大衆に広がりました。
その後、世界の観光地は経済的な恩恵を受けましたが、地域で対応できないほど多くの観光客が訪れる
「オーバーツーリズム」という問題が生じました。

車の渋滞や大気汚染、ゴミや騒音の増加、さらには経済優先の視点から地域の開発が進められ、地域資源や住民生活にも影響が広がりました。

1980年代からは観光を通じて自然保護や環境保全について理解を深める「エコツーリズム」という考え方が注目を集め、さらに2015年には国連で「持続可能な開発目標・SDGs」が採択されたことで、こうした機運に弾みがついたといえます。

サステナツーリズムとは

後間
なるほど。では世界的に機運が高まる「サステナブルツーリズム」ですが、国内でも取り組みは進んでいますか?

石山
はい。世界遺産にも登録された岐阜県・白川村(しらかわむら)の「合掌造り集落」では、今でも人々が生活を営んでおり、観光客はそこでいろりを囲んで食事をするなど、暮らしぶりを体験することができます。
このように、岐阜県では長きにわたって地域の暮らしの中に息づいてきたものを観光資源として活用できるよう情報発信に努めています。

内のサステナブルツーリズム取り組み~岐阜県~

このほかにも、かつて製鉄のまちとして栄えた岩手県釜石市(かまいし)では、市全体を「生きた博物館」に見立てた
「オープン・フィールド・ミュージアム釜石」を立ち上げました。
来訪者は様々な体験プログラムへの参加を通じて地域と交流し、市民は地元の良さを再発見できるような仕組みとなっています。

国内のサステナブルツーリズム取り組み~岩手県釜石市~

後間
今後もこうした取り組みが進み、現在だけでなく未来にも目を向けた新たな観光のあり方が確立されることを期待したいですね。

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