暮らし,沖縄経済
「沖縄の貧困の連鎖を断ちたい」食料支援に奔走するゴージャス理枝
社会問題の解決に向け、地道にかつ果敢に挑戦する女性を称える「チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞」
2021年、全国200人の候補の中から見事入賞を果たしたのは、女性を元気にする会のゴージャス理枝さんだ。
女性を元気にする会 ゴージャス理枝さん
「これは沖縄の皆さまの思いが沢山詰まった賞だと思っています。この賞を持ち帰って沖縄の女性の皆さんに元気と勇気を与えられたらと思っています。」
コロナ禍で厳しさを増す沖縄の貧困
ゴージャスさんが取り組むのは困窮する子育て世帯に2週間分の食べ物や日用品を届ける食料支援。2019年から続けている。
新型コロナによる不況で助けを求める声は急増し、これまでに支援した世帯は1000件を越えた。
この日、訪ねたのは飲食店で働きながら6人の子を育てるシングルマザー。新型コロナの影響で休業が続き収入が激減したという。
訪問先では食料を渡すだけでなく家庭環境や経済状況をヒアリングし、それぞれの世帯に必要な情報を提供したり、行政やその他の機関に繋いだりする。この日もすぐに社会福祉協議会の職員に連絡し、支援に繋げた。
ゴージャス理枝
「食料支援は自立するためのきっかけだからやっぱりどこかに繋ぐ。一歩前に踏み出すためのチャンスを与えないといけないので、そのために繋がってほしい。どうしても孤立してしまったら負の連鎖が続いていくので」
本業の傍ら支援に奔走 県内外から集まる寄付
ゴージャスさんの本業はエステティシャン。2008年、美を通して一人でも多くの女性を元気づけたいと、那覇市にエステサロンを開業した。
その後、自身もシングルマザーとして生活に苦労した経験から「女性を元気にする会」と銘打ってボランティア活動を開始。2019年からは食料支援も始めた。
支援に必要な食料のほとんどはゴージャスさんの活動に共感する個人や企業から寄せられている。時には、県外から送られてくることも。
ゴージャス理枝
「これも本土から送られてきているんですね。見たこともない全然知っている人でもないのに、本当にありがたいです。それで沢山の沖縄の人たちが救われているので」
ゴールの見えない支援活動 なぜ続けられるのか
新型コロナの長期化による不況は深刻さを増し、ゴージャスさんがどんなに支援に駆け回ってもSOSの声はなくならない。まだ訪問できていない世帯は180件に上る。
終わりの見えない日々。インタビューした日の最後、取材班はゴージャスさんに率直な疑問を投げかけた。
━━何件も何件も回るけど終わりがない。心が折れそうになるときは
ゴージャス理枝
全然ない。頼る人がいるわけでしょ。行かないと。とにかくこなしていく。頼る人がいなくなればそれで終わればいいから。いるんだからいかないと。私が動ける間はね、動けなくなったらやらないよ。誰が継ぐの、誰も継がんけど(笑)
OTVフードドライブ第2弾を実施
2022年12月、沖縄テレビでは2022年9月に続き2回目となるOTVフードドライブを実施した。家庭で眠る食料や日用品の寄付を社内で呼びかけ、集まった物資をゴージャス理枝さんに託した。
この日も生活が苦しく安心して年を越せそうにないという世帯が30件ほどあり、各世帯に食料を届ける予定だと話すゴージャスさん。一人でも多くの母親を自立に導き貧困の連鎖を断ちたい。そのまっすぐな想いがゴージャスさんを突き動かす。
取材後記
ゴージャス理枝さんと出会ったとき、このパワーはどこから湧き出てくるのだろうと不思議だった。取材を続けるうちに、ゴージャスさん自身もシングルマザーとして子どもを育てながら数千万の住宅ローンを返済し、どん底の人生から這い上がった経験が支援の原点だと知った。今後も地道にかつ前向きに、県内を駆け回るゴージャスさんの姿を追っていきたい。
(取材:沖縄テレビディレクター 上原麗夏)
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