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くらしと経済編集部

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農業・福祉の課題を解決する「農福連携」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
農業分野と福祉分野が連携する「農福連携」の取り組みが、各地で盛んにおこなわれ、注目を集めているそうです。
その最新事情について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里 
宜しくお願いします。

農業・福祉の課題を解決する「農福連携」

小林
「農福連携」あまり聞き馴染みのない言葉ですが、具体的にはどのようなことをいうのでしょうか。

宮里
「農福連携」とは、障がい者や生活困窮者、高齢者等が農業分野へ就農・就労するのを促進する取組みです。彼らが農業分野で活躍することで、自信や生きがいを実感し、社会参画を促すことができます。
また、農業分野、福祉分野それぞれの課題を解決できるというメリットがあり、近年各地で盛んにおこなわれています。

小林
なるほど。双方にはいまどのような課題があるのでしょうか。

宮里
農業分野の課題に、高齢化と労働者不足があります。令和2年現在、農業者の平均年齢は68歳となっており、農業従事者の数は20年前に比べ、およそ半数の136万人となっています。一方で耕作放棄地の面積は増加しており、再生利用可能な農地は全国で約9万ヘクタールあることも問題となっています。
福祉分野の課題としては、障がい者の就労先不足や支払われる工賃が少なく、事業者間の差が大きいことが挙げられます。

農業分野・福祉分野の課題

小林
これらの課題に対して農福連携はどのような効果があるのでしょうか?

宮里
農業分野では、農業労働力の確保が挙げられます。民間の調査によると、農福連携に取り組む農業事業者のおよそ8割が「受け入れた障がい者が貴重な人材になった」と回答しており、およそ 6割が割が「労働力確保により営業等の時間が増加した」と回答しています。
農福連携に取り組む障害福祉サービス事業所からは「利用者に体力がついて長い時間働けるようになった」、「過去5年間の賃金・工賃が増加した」、「利用者の表情が明るくなった」などの声が上がっています。

農福連携のメリット

小林
メリットが多い農福連携ですが、新しく農福連携を始めるにあたっての課題等もあるのでしょうか?

宮里
農業法人を対象としたアンケート調査の結果によると、障がい者を雇用する際の不安や心配として、「適した業務の特定や開発」、「事故や怪我」、「環境整備」などがあげられました。また、欲しい情報や支援としては、「障がい者雇用の支援制度に関する情報」、「障がい者が行う農業技術に関する情報」等があります。

農業分野における障がい者の雇用

小林
県内においては農福連携に取組んでいる事業者はいるのでしょうか?

宮里
南城市の養鶏・野菜農家にて、市内の福祉事業所から障がい者を受入れており、卵のパック詰めや、野菜の袋詰め作業等を行っています。当初は卵の集荷場で作業していたのですが、集荷場はとてもうるさいため、音に過敏な障がい者は農産物の集荷場へ配置換えするなど、適材適所での作業となるよう配慮したそうです。
このように、障がい者も作業がしやすくなるような生産工程の管理に力を入れることで、全体の生産効率も向上しました。また、障がい者受入れ前には手が回らなかった作業にも手が回るようになり、人手不足が解消し、作業の多様性も拡大しました。

小林
誰にとっても生きやすい世の中の実現といった、社会全体にも貢献できる農福連携の今後の動向が楽しみですね。

宮里支店長ありがとうございました。

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