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【沖縄の格闘技界を変えた男 松根良太】Part.03「沖縄を格闘技で夢を見る人が集まる場所に」
目次
世界最高峰の総合格闘技団体・UFCの舞台で戦う県出身の総合格闘家 平良達郎。
平良達郎を育て上げ世界の舞台へと押し上げたのが、津堅島出身の松根良太だ。
パンクラス元3階級王者 砂辺光久は沖縄での格闘技の練習環境の変化をこう語る。
「試合が決まるたびに県外で合宿を張って、すべて実費なので。ファイトマネーを貰ってもプラマイゼロ・赤字で帰ってくることもありました。今は沖縄に居ながら良い練習どころか世界で活躍する選手と肌を合わせることができます」
第3代GLADIATORライトフライ級王者 宮城友一も沖縄での練習環境の変化を肌で感じていた。
「砂辺さんと昔やっていた時とはまるで違いますね。こんなにたくさんの選手が集まる場所があって、教えてくれる最高の先生がいて。沖縄でこれだけの練習ができるというのは少し前だと考えられない。最高ですね」
「松根さんだからこそみんな集まっていると思います。松根さんありきですね。笑 最高です」
世界の強さを求めて沖縄へ
2012年に那覇市でジムを開いた元修斗王者の松根良太。
総合格闘技が根付いていなかった沖縄で、丁寧な指導やアマチュア大会の開催など地道な努力を続け多くのプロ選手を生み出し、世界最高峰の総合格闘技団体UFCで活躍する平良達郎という格闘技界の星を育てあげた。
「県外からも選手が出稽古に来てくれますね。きょうも二人来ていましたし。合宿の地に沖縄を選んで、沖縄に練習をしに来る人が今ではたくさんいます」
沖縄が生んだ格闘技界のメジャーリーガー平良達郎。現在日本人最多のUFC6連勝をマークしている。地方の沖縄で平良はいかにして最強に上り詰めたのか、答えを求めて沖縄に足を運ぶ選手も多いという。
平良達郎のUFC7戦目(今年10月に開催予定)に向けて平良の練習相手を務めるため京都から沖縄にやってきた福田龍彌(元修斗世界フライ級王者・現DEEPフライ級王者)
は「沖縄の環境がうらやましい」と笑顔で語った。
「沖縄の格闘技シーンはすごく良いなという印象ですね。僕は京都の田舎のほうなんですけど、大阪に出稽古に行かせてもらう時と同じ活気を感じますし、地方やなと感じることはないですね」
「何よりも松根さんも達郎も世界の第一線で戦っている人で、そのリアルを肌で感じることができますよね。場所関係なく良い人が集まってくる環境やと思います。うらやましいなと思いますね」
「UFCを目指したい」沖縄のこどもたち
ジムに集まるのは強さを追い求めるプロ選手だけではない。
平良達郎に憧れを抱くこどもたちもまた、それぞれの純粋な思いを胸にジムで練習に励んでいる。
「平良達郎を見て格闘技を始めるこどもも増えていますね」
キッズクラスで腕を磨くこどもたちは「UFCでチャンピオンになりたい!」「達郎先生みたいにUFCで活躍したい!」とキラキラと輝いた目で夢を語った。
キッズクラスの指導も担当する松根は笑顔でこどもたちのインタビューを見守った。
「10年後には今度はこのこどもたちが未来のこどもたちに夢を与える存在になると思います。そういった部分を大事にすることで、今後も格闘技を沖縄に根付かせていきたいと考えています」
目の前の強さだけではない。アマチュアの育成から現在の沖縄の総合格闘技界を作り上げたように、花が咲いた今でも、また次なる花を咲かせるために松根は丁寧に種をまく。
沖縄を格闘技で夢を見る人が集まる場所に
「UFCのベルトのみならず、他の選手にも修斗のベルトをとらせたいですし、ほかにもUFCに行けるくらいの実績を残す選手を育てていきたいですね」
指導者として更なる高みを目指す松根。松根が見据えるこれからの沖縄の格闘技界とは。
「格闘技で夢を見たいという選手が沖縄に集まるような沖縄の格闘技界にしていきたいです。ケージがあってお風呂があってこれだけ広いジムは日本でもそうそう無いと思いますので。笑 東京にも強いジムはいっぱいありますが、格闘技を学びたいという人にはどんどん沖縄に来てもらいたいですね」
松根は「こんなおじさんが取材される機会は二度とないと思うので最後に2つほど良いですか?笑」とインタビューを締めくくった。
「一つは、狭い島の沖縄に、MMAという競技の世界最高峰UFCでチャンピオンになる一歩手前の選手が沖縄に居るということを、沖縄のすべての人に知ってほしいです。UFCでチャンピオンになるということは、サッカーでいうとワールドカップで優勝することと同じだと思っています。平良達郎の存在を沖縄のみんなに知ってほしいです」
「二つ目は、若い人たちに夢を持って生きてほしいです。夢を持つとその夢を追いかけている時間が素晴らしいものになるし、夢を叶えた時の経験は君たちをとても強くさせる。僕は格闘技を通してでしたが、格闘技以外でも自分の夢を持って生きてほしいと思います」
人を想う指導者だからこその熱い想い。これからも松根良太は選手を育て、人の夢を育てて、明るい沖縄の格闘技界を作っていく。
[執筆:植草凜(沖縄テレビアナウンサー)]
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