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長嶺 真輝

長嶺 真輝

植松義也が踏み出した「ハッスルの向こう側」…琉球ゴールデンキングスの好発進を支える“Xファクター”に

EASL初戦、第3Qにつくった「らしい」ハイライト

植松義也が踏み出した「ハッスルの向こう側」…琉球ゴールデンキングス
元チームメートのアレン・ダーラムをマークする植松

EASLのメラルコ・ボルツ戦は、前述のように外国籍選手が2人までしかベンチ入りできないため、ケヴェ・アルマが不在だった。そのため、PFもできる植松の重要度がより増した一戦となった。

結果、出場時間は14分42秒まで伸び、Bリーグの4試合を合わせて今シーズン最長となった。スタッツは9得点、2リバウンド、2スティール、1ブロック。一切手を抜かないスクリーンアウトやディナイディフェンス、ブロックを狙った高いジャンプなど数字に表れないハッスルプレーも多く、その選手の貢献度を表す「EFF」はチームで5番目に高い「+10」だった。

中でもハイライトとなったのは、徐々に相手に流れが傾きかけていた第3Q終盤の場面だ。

植松が右45度から放った3Pがルーズボールとなり、相手に素早いトランジションから速攻を仕掛けられる。昨シーズンまでキングスで活躍した体重110k超のアレン・ダーラムにペイントエリア付近で面を取られ、パスを入れられるが、マッチアップした植松が押し負けずに前に回ってパスカット。エアボールにすぐに飛び込み、相手の得点源の一人であるクリス・ニューサムから三つ目のファウルを引き出した。

その後の相手のポゼッションでもダーラムに1対1を仕掛けられるが、ドライブに対してすぐにコースに入り、ファンブルを誘った。

キングスファンであれば説明不要だと思うが、ダーラムのパワフルなプレーを1対1で抑えることは容易ではない。植松の体の強さやハッスルという最大の持ち味が存分に発揮された時間帯だった。

極めて「らしい」プレーとなったパスカットの場面について、植松はこう振り返った。

「自分のオフェンスのミスだったのでハリーバック(すぐに自陣に戻ってディフェンスすること)して、AD(ダーラム)に簡単にやらせないためにしっかり体張ってポストディナイしました。カットした後のルーズボールでうまくファウルももらえて、いい方向につながって良かったです」

桶谷大HCも「EASLは外国籍が2人しか使えないので、義也のプレータイムがどれだけ伸びるかがチームにとってすごい重要なところでした」と振り返る。実際、植松がしっかりとローテーションに入ってプレーをしたことで、ジャック・クーリーの出場時間は26分ちょうど、帰化選手のアレックス・カークは18分32秒に抑えることができた。

植松の貢献について、指揮官は「インサイドにいる選手がハッスルすることは、誰がやってもチームに勢いが付くと思っていますが、義也も1試合に1回は勢いを引き出してくれる。今シーズンは本当にチームにエネルギーを与えてくれている。チームの雰囲気を良くする一つの要因になっていると思います」とも言い、頼もしく感じている様子だった。

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