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舘 幸子

舘 幸子

沖縄で見つけた新しい自分 ─ 岐阜から”沖縄移住”をした「Laboratorio 43 pottery」川口さくらさんの”金継ぎ”ストーリー(本部町)

沖縄で見つけた新しい自分 ─ 岐阜から”沖縄移住”をした「Laboratorio 43 pottery」川口さくらさんの”金継ぎ”ストーリー

割れてしまった器、あなたならどうしますか?日常の中でひびが入ったり欠けたりしてしまった器は、安全面を考えて手放してしまうことが一般的かもしれませんが、どこか心苦しさが残ります。
そんな時、壊れたものを“なかったことにする”のではなく、傷を金で美しくよみがえらせる日本古来の技術「金継ぎ」があります。割れや欠けを隠すのではなく、むしろその痕跡を価値あるものへと変えていく金継ぎは、“サステナブル”や“ものを大切にする文化”として、近年世界からも注目を集めています。

目次

金継ぎ体験という贅沢な時間

沖縄で見つけた新しい自分 ─ 岐阜から”沖縄移住”をした「Laboratorio 43 pottery」川口さくらさんの”金継ぎ”ストーリー

そんな金継ぎを気軽に体験できるのが、沖縄本島北部 本部町にある「Laboratorio 43 pottery(ラボラトリオ ヨンサン ポッテリー)」。
沖縄で金継ぎ体験ができる施設はまだ数えるほどしかなく、認知度もこれから広がっていく段階ですが、忙しい日常から一歩離れ、ひとつの器とじっくり向き合う時間は、心も整う特別なひととき。

沖縄で見つけた新しい自分 ─ 岐阜から”沖縄移住”をした「Laboratorio 43 pottery」川口さくらさんの”金継ぎ”ストーリー

今回は、岐阜県から沖縄へ移住し、Laboratorio 43 potteryで金継ぎ体験を担当するスタッフ・川口さくらさんに、金継ぎとの出会いや移住の決断、そして沖縄での暮らしについて語っていただきました。

岐阜から沖縄に移住した川口さくらさん

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川口さくらさんは岐阜県出身。オーガニック業界に勤めていた川口さんは24歳の時にオーガニック商品を扱うショップの立ち上げメンバーとして神奈川県鎌倉市に転勤。そこで約2年間鎌倉暮らしを経験しました。
「近くに海のある暮らしが心地よくて、海のそばに住むということに、いつしか特別な意味を感じるようになりました」と川口さんは振り返ります。

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そんな鎌倉生活の中で、当時の同僚の家族から“金継ぎ”の存在を教えてもらったことが、人生の大きな転機になりました。たまたま割れてしまったお気に入りのマグカップを金継ぎで直してもらった経験が、川口さんの心を強く動かしたのです。
「これはただのマグカップではなく、時間と手間をかけて誰かが自分のために直してくれた“想いのこもった贈り物”でした。壊れたものが、より美しくなる。そんな考え方に惹かれました」

沖縄で見つけた新しい自分 ─ 岐阜から”沖縄移住”をした「Laboratorio 43 pottery」川口さくらさんの”金継ぎ”ストーリー

この出来事をきっかけに、「金継ぎを通してサステナブルな発信をしていきたい」という思いが芽生え、川口さんは約1年間金継ぎ教室に通い、技術を学び始めます。
とても繊細で少しのズレや歪みが作品の表情を左右するため、丁寧さと集中力が求められる中で、川口さんは金継ぎの本質を身体で覚えていきました。そしてこの期間中、彼女の中で「自分の手でモノをつくる」ことに対する楽しさが大きくなり、陶芸にも強い関心を抱くように。

沖縄移住の理由とLaboratorio 43 potteryとの出会い

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「次のステップに進みたい」と感じた川口さんは、陶芸に関われる仕事を探し始めました。そんな中で出会ったのが、沖縄北部にある体験工房&ショップ「Laboratorio 43 pottery」。
Laboratorio 43 potteryは沖縄の伝統工芸であるやちむんを継承しつつ、現代のライフスタイルに溶け込む新しいスタイルのやちむんの企画、プロデュース、製作に取り組むARTIGIANO合同会社が運営する体験工房&沖縄のお土産品を販売するショップです。

会社の理念やものづくりの姿勢に共感した川口さんは、応募を決意しました。「沖縄は旅行で訪れたことがある程度で、知り合いもほとんどいなかったのですが、直感的にここでなら自分らしく働けると思いました」といいます。
そして2025年10月、川口さんは沖縄に移住。自然に囲まれた静かな環境、人の温かさ、ゆったりと流れる時間…沖縄の環境は彼女の感性と見事に調和しました。

沖縄での暮らしと文化の違い

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沖縄に移住してまず感じたのは、その治安の良さでした。
「最初に驚いたのは、大家さんから“個人情報を記入した書類をポストに入れておいて”と言われたことでした。内地では考えられないようなことですが、沖縄では“まあ大丈夫なんだろうな”と思えてしまうほど、ゆったりとした空気が流れているんですね(笑)」と語ります。
「沖縄独自の食文化も、移住者の私にとっては新鮮な驚きの連続でした。特に印象に残ったのは、もずくです。内地で食べていたもずくと沖縄のもずくは別物ですね。プリプリとした食感で、歯ごたえもあってびっくりしました。スープの具材にしたり、酢の物にしたり。他にもいろんな食べ方ができそうですね。」と、感動を振り返ります。
また、自然との距離の近さも、沖縄ならではの魅力のひとつで「ある日、家の中にヤモリが現れてびっくりしました。でも、沖縄では“ヤモリは家を守る存在”として大切にされていると知って、今ではすっかり受け入れています。時々窓辺で見かけると、なんだかほっこりするんです」
日々、海や空、風の音、虫の声に囲まれて暮らすことで、心が穏やかになるといいます。
“常に時計とにらめっこ”する生活とは無縁で「ここでは時間がゆっくり流れているように感じます。自然と向き合うことで、自分自身と向き合う時間も増えました」と川口さん。
移住という決断の先には、思いがけない発見と心の豊かさが待っていたのです。

金継ぎ体験の内容とその魅力

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そんな川口さんが担当する金継ぎ体験は「現代金継ぎ(簡易金継ぎ)」と呼ばれる方法。
本来の金継ぎ(本金継ぎ)は、漆の木から採れる天然の樹液=漆を使って器を接着し、乾燥に約1ヶ月かかります。一方、現代金継ぎでは合成樹脂を使用するため、数時間で固まり、体験後にそのまま持ち帰ることが可能です。
体験の流れは以下のとおり。

1.器選び

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Laboratorio 43 potteryで用意されたやちむんから好みのものを選んで作業に入ります。

2.やすり作業

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割れた断面や欠けた部分をやすりで滑らかに整えます。

3.接着・パテ埋め

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接着剤で割れた破片をしっかりと貼り合わせ、隙間にパテを埋めて形を整え、はみ出た余分な部分はカッターで削り落とします。

4.金塗り

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継ぎ目に金粉と薄め液を混ぜ合わせたものを塗り、上から金粉をふりかけて装飾。

5.磨き仕上げ
余分な粉を払い、表面を軽く磨いて美しく仕上げます。

所要時間は1時間半ほど。実際に体験した方からは「ひとつの作業に集中する機会が少ないので楽しかった」「日常を忘れて没頭できた」という声が多く寄せられて、瞑想のような感覚で金継ぎを楽しむ方も多いそうです。

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金継ぎの魅力は、壊れた部分を隠すのではなく、あえて金で際立たせることで新たな価値を生み出す点にあります。修復の跡は単なる“補修”ではなく、器の歴史そのもの。完成した器は、もはや実用品という枠を超え、ひとつのアート作品のように輝きます。
世界にひとつだけの器を、自分の手で蘇らせてみませんか?
壊れた器に新たな命を吹き込む金継ぎ体験は、心にも豊かさをもたらしてくれるはずです。

Information

沖縄で見つけた新しい自分 ─ 岐阜から”沖縄移住”をした「Laboratorio 43 pottery」川口さくらさんの”金継ぎ”ストーリー
Laboratorio 43 pottery
住所
〒905-0205
沖縄県国頭郡本部町山川1421
電話番号
0980-43-7789
営業時間
10時〜18時30分
駐車場
あり
クレジットカード・電子マネーの利用
HP・SNSのURL
HP
Instagram
OKITIVE公式インスタグラムはこちら!
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