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バレーボール男子日本代表、沖縄合宿で突き詰めた“4つのこと”…ティリ監督は「懐かしい」アリーナに笑顔
バレーボール男子日本代表(FIVBランキング5位)は7月10日、沖縄サントリーアリーナでカナダ代表(同15位)との国際親善試合に臨み、セットカウント3-1で勝利した。
25-23、28-26、25-17で3セットを連取し、実質ストレート勝ちを収めた日本。親善目的で行われた第4セットこそ22-25で落としたが、世界三大大会の一つである「ネーションズリーグ(VNL)」で無傷の8連勝中で首位を独走中のチームらしく、好調ぶりがうかがえた。
約1週間の沖縄合宿をいい形で締めくくった日本は、15日から大阪で行われるVNL予選ラウンド第3週に挑む。キャプテンの石川祐希、髙橋藍、西田有志ら主力だけでなく、多くの選手が存在感を示した親善試合をレポートする。
大塚達宣が流れを変えた第2セット
アウトサイドヒッター(OH)の石川と髙橋、ミドルブロッカー(MB)のエバデダンラリーらが着実に得点を重ね、第1セットを先取した日本。試合のポイントになったのは、続く第2セットだ。
序盤から差が2点以上離れず接戦が続くと、中盤から高さのあるカナダのブロックに苦しみ、前に出られる。それでも、途中からコートに入ったOHの大塚達宣がサーブで相手を崩し、粘り強いレシーブでボールをつなぐ。デュースに持ち込み、最後は長いラリーから石川が決め切り、競り合いを制した。
ロラン・ティリ監督は「少しひやっとした部分があったので、そこを勝ち切れたことは次につながります。みんなで力を合わせて第2セットを取れたことが本当に良かったです」と、このセットを大きな収穫に挙げた。
接戦を制す立役者に大塚の存在を挙げた石川は「途中から入ってきてくれた大塚選手が、サーブとディフェンスでボールをつないでくれました。それを髙橋選手や僕がしっかり決めることができたところが大きな要因かなと思います」と振り返った。
試合後、コート上でインタビューを受けた大塚は、台風が接近する中でも多くの観客が集まったことに感謝を述べ、「公式戦に近い環境でプレーできたことは、来週以降のネーションズリーグにつながると思います」と手応えを口にした。
3セット目から総入れ替え、厚みを増す選手層
3セット目からはメンバーを総入れ替えしてスタートした。オポジット(OP)の宮浦健人やミドルブロッカー(MB)の西本圭吾らが躍動し、終盤の連続ポイントでこのセットを奪った。
第4セットも含め、今大会に登録されたメンバー全員がコートに立った日本。個々の持ち味を遺憾なく発揮し、総合力の高さを示した。
ティリ監督には、ここまでのVNL8試合で限定的な起用にとどまっていた選手にも、まとまった出場時間を与える狙いがあったという。「これまで単発で使ってきた選手に、今回の親善試合を通してもっとプレーする機会を与えたかった。コート上で選手たちがどういう姿勢で戦うのかを見たかったので、とても興味深い内容でした」と満足そうな表情を浮かべた。
大阪で行われるVNL予選ラウンドは5日間で4試合を戦い、厳しい日程をこなすことになる。主力に頼るだけでなく、交代で入った選手がそれぞれの役割を果たしながら勝利につなげたことは、連戦が続く国際大会に向けた明るい材料だ。
石川も「1、2セット目と3、4セット目はメンバーが違いましたが、スタートから出た選手も、交代して出た選手も非常に活躍していました。層の厚さは年々増しているので、それはチームにとって非常にプラスだと思っています」と評した。
「もっと強化できる」見えたブロックの課題
VNL大阪大会でも対戦するカナダに快勝した一方、課題も見えた。ティリ監督が「今日はほとんどブロックができませんでした」と率直に語った通り、日本はカナダの高さを生かした攻撃に対し、思うようにブロックを機能させられなかった。
石川も「もう少しアグレッシブにいけた部分はある」と振り返る。「カナダの選手たちはブロックが非常に強かったので、そこは学びになりました。タイミング、高さだけでなく、どれだけアグレッシブさを出せるかも重要です。ブロックはもっともっと強化できると思います」と今後を見通した。
約1週間にわたる沖縄合宿では、基礎的な技術とチーム戦術の精度向上に時間を割いたという。石川は、チームで向上を目指している部分について、アタックの決定率と効果率、Aパス(レシーブしたボールがセッターの定位置に返ること)の返球率、サーブの効果率、ブロックの質の4点を挙げた。
そのうえで、「改善点を挙げればどんどん出てきますが、これらは一瞬で向上できるようなものではありません。沖縄では修正しながら取り組んでいきました。最後に試合の感覚で試して合宿を終えられたことは、大阪ラウンドにつながると思います」と自信をのぞかせた。
ティリ監督と石川佑希が笑顔を浮かべた理由
試合後のミックスゾーンでは、時折リラックスした表情も見られた。まずはティリ監督だ。実は、指揮官にとって沖縄サントリーアリーナは初めて訪れる場所ではなかった。
というのも、長男のキム・ティリは、フランス代表として2014年のFIBAワールドカップや2016年のリオデジャネイロ五輪に出場した有力選手で、2020-21シーズンには同アリーナをホームコートとするBリーグの琉球ゴールデンキングスでプレーした経歴を持つ。
ティリ監督は、2021年に落成した沖縄サントリーアリーナで、キングスが初の公式戦を行った際、観客席から息子のプレーを見守っていたという。「今回会場に来て、ものすごく懐かしかったです」と言い、顔をほころばせた。
ちなみに、三男のキリアン・ティリはNBAで活躍する八村塁とゴンザガ大学時代のチームメイトだ。その後、NBAでもプレーした。その経歴を踏まえ、「今度は一番下の息子が琉球でプレーすることを願っています」と話し、笑顔のままロッカールームへ引き上げていった。
一方、石川は沖縄で合宿をした経験はあるが、沖縄での試合は学生時代も含めて初めてだったという。「このような天候の中でたくさんの方に会場に足を運んでいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。沖縄で試合ができて良かったです」と頬を緩めた。
バレーボール漬けの日々の中でも、南国の空気を感じられたようだ。沖縄の印象を問われると、「食べ物もおいしいですし、気候も過ごしやすい。本当に夏を感じられる。休みがあまりない中でも、少しリラックスしながら合宿できるところがいいですね」と笑顔を見せた。チャンプルーやマンゴー、海ぶどうなども味わったという。
沖縄で得たものを大阪、そしてアジア選手権へ
実り多い沖縄合宿を終えた日本代表。順調な調整ぶりは、対戦したカナダ代表のスカイラー・ヴァルガが「日本がすごくいいプレーをして、なかなか思うようにいかなかったです」と試合を総括したことからも伝わってくる。
ティリ監督は、中国で行われた6月のVNL予選ラウンド第1週を「比較的スムーズだった」と捉える一方、第2週のフランスラウンドでは戦いが難しくなったと分析する。7月15日に始まる第3週の大阪ラウンドでは各国の中心選手が戻り、決勝ラウンド進出を懸けた厳しい試合になると予想する。
さらにその先には、9月4日から13日に福岡県で開催されるアジア選手権が待つ。優勝国には2028年ロサンゼルス五輪の出場枠が与えられるため、極めて重要な大会になる。髙橋は「アジア選手権で優勝すればオリンピックにつながっていくので、沖縄でつかんだもの、成長できたものをしっかり出し切って、皆さんに優勝報告ができるように頑張りたいです」と気を引き締めた。
負けられない戦いへと向かうバレーボール男子日本代表。その快進撃を、沖縄からも多くのファンが応援している。
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