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高卒の「練習生」からキャリア切り開き14年目。キングス”小野寺祥太”10年前に「度肝を抜かれた」新時代の歴史的舞台へ
高校卒業後、プロキャリアのスタート地点は「練習生」だった。
それから14年。琉球ゴールデンキングスの小野寺祥太は、bjリーグ、Bリーグと時代を渡り歩き、今季でチーム最長となる在籍8シーズン目を迎えた。
キングスでB1優勝、天皇杯優勝を経験し、昨シーズンはEASL(東アジアスーパーリーグ)、天皇杯を含め、プロ入り後初めてという全試合出場を達成。31歳のベテランとなった今も、強豪クラブで自らの居場所を確かなものにしている。
小野寺が次に迎えるのは、歴史的な一戦となる9月22日のBプレミア開幕戦だ。「10年前とは、また違ったキングスを見せられたらいいですね」。中心選手の一人としてチームを背負い、意気込みは十分だ。
エリート街道を歩んできたわけではない。それでも一歩ずつ、着実にキャリアを切り開いてきた仕事人が、日本バスケットボール界の新たな時代の幕開けを象徴する舞台に立とうとしている。
「想像できなかった」輝かしいキャリア
小野寺がプロの世界に足を踏み入れたのは、盛岡南高校を卒業した2013年のこと。当時bjリーグに参入していた地元の岩手ビッグブルズに練習生として加わった。同年12月に岩手と選手契約を結び、秋田ノーザンハピネッツを経て、2019年にキングスへ。気づけば、今シーズンでプロ14年目を迎えた。
学生時代は全国大会に出場した経験がなく、ほぼ無名の選手だった。ここまで第一線で戦い続ける未来を想像できていたのか。そう尋ねると、「できないです。本当に」と即答した。長いキャリアを振り返った時、小野寺がよく口にするのは、周囲への感謝だ。
「僕は本当に人に恵まれていたなって思います」
岩手とキングスで共闘した桶谷大氏をはじめ、穂坂健祐氏、勝久ジェフリー氏、秋田時代の指揮官だったスペイン出身のジョゼップ・クラロス・カナルス氏、佐々宜央氏、藤田弘輝氏ら、これまでのプロキャリアで出会った指導者の名前を次々に挙げた。
コーチたちの後押しを力に変えながら、プロの世界で生き残る術を探し続けてきた。試行錯誤の先に見つけたものこそ、今では代名詞となったディフェンスだった。
得点が好きだった選手が見つけた「武器」
学生時代は岩手県からほとんど外に出たことがなかったという。「本当に自分はうまいと思ってました。めちゃくちゃ」と笑う。もともと好きだったのはディフェンスよりオフェンスだ。高校時代から容易にダンクシュートができるほどの身体能力を備え、得点することに魅力を感じていた。
しかし、プロになり、自分より得点能力の高い選手がいくらでもいることを知った。「自分がチームに貢献できることは何か」を考え、ディフェンスに注力するように。その意識がさらに強くなったのが、キングス加入後だ。当時のチームには並里成、岸本隆一、石崎巧ら能力の高いガードが揃っていた。
「得点を取る選手はいっぱいいたので、よりディフェンスを磨く必要があると感じました。バスケットボールは5人のチームスポーツなので、そこに一人、ディフェンスが上手いガードがいたら、良いバランスになるんじゃないかとも思いました」
自分のやりたいプレーだけに固執するのではなく、個性の集合体であるチームの中で、自分に何が求められているのかを考え続けた。長くプロで生きていくうえで必要なことを尋ねると、“らしい”言葉を語った。
「柔軟な頭で自分の役割を見つけることは大事だと思います。時には『折れる』っていうか。それも大切かなと。岩手に帰った時、イベントでそういう話を子どもたちにしたこともありますね」
自分の現在地を冷静に見つめ、役割を全うする。愚直にやり続けた先に、それが自分の武器になる。その積み重ねが、守備職人としての小野寺のキャリアを形づくってきた。
30歳を過ぎて初の「全試合出場」
「キャリアの中で自分の武器を見つけ出せた」という自負があり、磨くべきことが明確だからこそ、小野寺の進化は今も続く。
年々、不必要なファウルが減り、ファウルを使う場面の判断も精度が高くなっている。ファイナルなど数々の大舞台を経験する中で、「どこが大事なのか」という感覚が研ぎ澄まされ、「一つのステップ、一つのポジショニング」で無駄な動きが減ってきた感覚もあるという。
Bプレミアでは「オンザコートフリー」が導入され、これまで以上に外国籍のウイングやボールハンドラーとマッチアップする機会が増えることが予想される。小野寺にとって、それは自分の価値を示せる舞台でもある。「楽しみですね。キレがあったり、ボールハンドラーを担ったりする外国籍選手も増えてくると思うので」と淡々と語る。
昨シーズンはファイナルまで進んだBリーグだけでなく、EASL、天皇杯を含めて全試合に出場した。bjリーグ時代も含め、プロ入り後初めてのことだという。
「疲れましたけど、うれしいですね」と喜ぶ。若手の頃に比べてストレッチを入念に行い、腰やふくらはぎ、肩などを丁寧にケアしてから練習に入る。年齢を重ねて体が変われば、自分も変える。柔軟な思考で、必要なことを積み重ねる姿勢は、ここでも変わらない。
「緊張しないか」31歳のベテラン、歴史的舞台へ
14年目に入るキャリアの中で、今も鮮明に残っている光景がある。
2016年9月22日、国立代々木競技場第一体育館で行われたBリーグ最初の公式戦、キングス対アルバルク東京。当時、岩手に所属していた小野寺も、画面越しにその試合を見ていた。
「もうそれまでとは別のリーグだと思いました。LEDコートの演出もすごかったです。A東京にいたディアンテ・ギャレットとかレベルの高い選手たちがプレーしていて、度肝を抜かれました」
あれから、ちょうど10年となる2026年9月22日。日本バスケットボール界の歴史的な一戦を、今度はコートで迎える。Bリーグの幕開けを飾ったA東京との連戦は、キングスが2連敗したことを念頭に、「10年前と違ったキングスを見せられたらいいなと思います」と意気込む。
18歳でbjリーグを戦う地元クラブの練習生となり、21歳でBリーグ開幕を迎え、31歳でBプレミアの幕開けを飾る舞台に立つ。「たぶん、緊張するかな」と言った後、笑いながら「緊張しないか」と自ら打ち消した姿は、頼もしいベテランそのものだった。
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