グルメ,パン,八重瀬町,地域,本島南部
もっちりとした噛み応え。高加水のハードパン「Boulangerie enne(ブーランジェリーエンネ)」(八重瀬町)
「これはパンマニアが作るパンだ!」
金子さんの焼いたパンをはじめて食べた時、私はそう直感しました。なんて言うんでしょうか…。パンから“好き”があふれていたのです。
2023年2月に、内田製パン(八重瀬町)の跡地で産声をあげた「Boulangerie enne(ブーランジェリーエンネ)」。茨城県出身の金子 久志(かねこ ひさし)さんは高校卒業後、スタイリストに憧れて東京の服飾専門学校に進学をしました。
「その頃仲が良かった友人がパン好きで、パン屋さん巡りに付き合うようになりました。いろんなお店に行きましたが、吉祥寺にあるDans Dix ans(ダンディゾン)で出会ったハード系のパンに衝撃を受けたんです。『ハード系のパンってこんなにおいしいんだー!』って」
そのダンディゾンのパンがきっかけとなり、自宅でパン作りに挑戦しはじめた金子さん。「『りんご酵母の本』を買ってきて種を起こして、パン・ド・カンパーニュ(フランスパンの一種で「田舎パン」とも呼ばれています)を作り始めました」
それから4年ほど趣味としてパン作りを続けてきた金子さんですが、東日本大震災を経験し、将来に対して漠然とした不安を感じはじめたといいます。「その頃は販売員をしていたのですが、このままで良いのかな…と思うようになりました。住んだことのない土地で新しいことをやってみたい!パンを作ることが好きだから、パン屋さんになろう!と決意をしました」
Boulangerie enneで購入できるのは、“毎日食べられるハード系”パン。
福岡県の製粉所まで自ら足を運び厳選した「ミナミノカオリ」や、北海道の「キタノカオリ」「春よ来い」、沖縄の「島麦かなさん」を使い、粒で仕入れる小麦はその都度お店で挽いています。
「粉の風味や味の濃さをダイレクトに感じられるのが、ハード系パンの魅力です」と金子さん。“自分の理想のパン”を目指し、日々微調整を重ねています。
私のイチオシは、高加水の「ロデヴ」。小麦粉に対して水分量が110%のロデヴは、外はパリッ、中は「これはパンなの?お餅みたい!」と思ってしまうほどもっちり。瑞々しくて喉越しが良く、あとを引くおいしさです。
シンプルにオリーブオイルで。スープに浸して。ハムとバターを挟んで…だけでなく、実は和食との相性も良いロデヴ。
私の場合はロデヴとチーズ、白ワインがあれば、それだけでご馳走です。
ここ最近の人気は、ライ麦配合の生地にイチジクとグリーンレーズンをたっぷり混ぜ込んだ「イチジクとグリーンレーズン」とのこと。
ドライフルーツの旨み、甘みがジュワっとあふれ出し、噛み締めるほどにその風味が広がります。
自家製ホワイトソースとハムを食パンで挟みチーズをたっぷりかけて焼き上げた「自家製ハムのクロックムッシュ」や、バゲットにソーセージと自家製ホワイトソース、チーズをのせて焼いた「グラチードッグ」はお昼ごはんにいかがですか?
平日は18〜20種類、週末は25種類ほどが並ぶBoulangerie enne。「ハード系のパンは硬くて食べづらい」と苦手意識を持っている方にこそ試していただきたいです。
Information
- Boulangerie enne(ブーランジェリーエンネ)
- 住所
- 〒901-0402 沖縄県島尻郡八重瀬町富盛337
- 営業時間
- 10時〜18時(売り切れ次第終了)
- 定休日
- 木曜日・金曜日(SNSで確認)
- 駐車場
- あり
- カード
- 可
- 電子マネー
- 可
- URL・SNS
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