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長嶺 真輝

長嶺 真輝

荒川颯「チャンスは自分で掴むもの」沖縄で手にした”新たな武器”磨き、勝負のシーズンへ 琉球ゴールデンキングス

ヘアバンド装着、DFマインド、ハンドラー…“転機”続いた昨シーズン

荒川颯 琉球ゴールデンキングス
フィジカルの強化にも余念がない

すると、徐々に芽生え始めた“ディフェンスマインド”に火が付く出来事が起きる。

今年の1月17日にアウェーであった名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で、チームのディフェンスの要である小野寺祥太が負傷。チームにとっては痛い離脱だったが、荒川にとってはプレータイムを得るチャンスだった。

「試合に出られない期間、ずっと祥太さんのディフェンスを見て勉強していました。『あのディフェンスを受け継ぐ』という決意、気合いを込め、次の試合から祥太さんの真似をしてヘアバンドを付けて試合に臨むようにしました」

もう一つ転機が訪れる。2週間後の1月31日にアウェーであった佐賀バルーナーズ戦だ。

第1クオーター残り約2分の場面。キングスはオフェンスでフォーメーションが崩れたが、右コーナーで待ち構えていた荒川にパスが渡った。迷わずキャッチ&シュートで3Pを放つ。リングを射抜き、約3カ月ぶりに得点を記録した。

その直後にも集中を切らさず、即座にボールを運ぶ相手ガードにプレッシャーを掛けてトラベリングを誘発。攻守で存在感を発揮し、流れを引き寄せた。「メンタル面がディフェンスにフォーカスされた試合でした」。13分21秒の出場で5得点、2リバウンドを記録したこの試合を機に、再びほぼ毎試合コートに立つようになった。

さらに牧がコンディション不良で欠場した3月の三遠ネオフェニックス戦からはハンドラーとしての役割も任せられた。1戦目が終わった後、アンソニー・マクヘンリーACから「次の試合から自分が出てる間は全部ボールを運んでくれ。チャレンジしよう」と伝えられたという。

「やるべきことをやっていたら、チャンスは目の前に現れるんだ」。2020年に始まった自身のプロキャリアの中で、初めてポジティブな気持ちになれたシーズンだった。

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