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松永 多佳倫

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末吉良丞の最後の夏、初戦DH7番で5打数2安打。「正直、一発狙ってました」バッターとしての決意と覚悟

背番号10の意味合い

末吉良丞の最後の夏、初戦DH7番で5打数2安打。「正直、一発狙ってました」バッターとしての決意と覚悟

沖縄尚学は、初回に先頭打者の玉那覇宝生のスリーベースから二番慶留間大武のファーストゴロエラーで早々と1点先制。貧打が専売勅許という有難くないイメージの沖尚打線が“この夏は違うぞ”と思わせる試合展開かに見えた。らしくない勢いがあったのはこの回のみで、打線はすぐさま沈黙する。

そして、2回表先頭打者で末吉がバッターボックスに入る。

本来ならエースナンバーを付けての初戦ベンチ温存のはずだった。しかし4月のU-18高校代表合宿後に肘に違和感を覚え、そこから春の九州大会はおろか練習試合でさえ一度もマウンドに上がっていない。
夏の優勝投手がまったく投げないことで、いろんな憶測が沸き起こった。肘痛重症説からわざと隠しているのか、はたまた夏の大会後トミー・ジョン手術をやるのでは… 有象無象があらぬ噂を立てまくる。いつの世でも醜聞を食い物にする輩が蠢くもので、未成年だからといって容赦はしない。

それをシャットダウンするかのように、6月6日の智辯学園との招待試合後に比嘉公也監督が報道陣の囲み取材に「左肘靭帯損傷の疑い」と発言。ただあくまでも“疑い”を強調し、断裂ではなく広い意味での損傷、それも“疑い”だと断言することで周囲を黙らせた。

夏には間に合わないとメディアは確信するものの、末吉自体のモチベーションはどうなのか。高校野球の取材において昨今のスキャンダラス報道が本懐ではなく、本来はレギュラー、控え関係なく泥まみれに頑張っている選手たちの心の内を市井にどうやって伝えるかが使命である。
そういった意味でも末吉はこの3カ月の間、塗炭の苦しみをずっと味わっていたはずだ。

周囲の雑音もそうだが、投げられないジレンマが末吉の顔から笑みを消していった。

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