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OTV報道部

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2022年9月 沖縄ニュースまとめ 沖縄テレビ報道部が8つのニュースをピックアップ

OKITIVEでは新たな企画として、月に1度、政治・経済・事件・事故・スポーツ・文化などすべてのカテゴリーの中から、沖縄テレビ報道部がOTVの8チャンネルにかけて8つのニュースをピックアップして、「キーワード」とともに振り返るコラムを掲載します。

初回となる2022年9月のキーワードは 「変化」です。夏が終わり、日に日に秋の足音が聞こえてくるなか「変わったもの」「変わらなかったもの」を振り返ります。

目次

①沖縄県知事選挙 現職の玉城知事が再選果たす

玉城デニー知事が再選果たす「普天間基地の工事は直ちにやめるべき」

復帰50年節目の県知事選挙、辺野古移設反対の民意変わらず 投票率は過去2番目の低さ 政治への関心・期待感は薄れる

2022年9月11日に行われた県内最大の政治決戦・県知事選挙は、現職の玉城知事が自民・公明が推薦する佐喜真氏・前衆議院議員の下地氏との3つ巴を制し再選を果たした。
知事選では新型コロナウイルスの影響からの経済回復、普天間基地の辺野古移設への対応を主な争点に3者3様の政策が示され、県民の付託は現職の玉城氏に託された。

勝因は復帰50年を経てもなお、過重な米軍基地の負担を強いられている県民が辺野古移設反対を貫く玉城知事を支持したことが大きい。
再選を果たしたことで、訪米や国連での演説にも意欲を示していて、国の内外で移設計画に関する議論を喚起させて日本政府に計画の見直しを迫りたいとしている。

いっぽう、政府は「辺野古移設が唯一の解決策」に変わりはないと玉城知事をけん制する。
移設問題をめぐり県と国の主張は平行線を辿り、普天間基地の返還はSACO合意から26年が経ても一向に進展していない。
長引く移設問題に県民の間にも閉塞感が感じられたのか投票率は57.92%。過去2番目に低く政治に対する関心は薄れていることも推察される。

②統一地方選挙 女性たちが議会を目指すわけ

24市町村で議会議員選挙 女性候補者の挑戦

「政治は生活」新たな動き女性たちが議会を目指すわけ

政治への閉塞感、そんな状況下で一筋の光もみられた。知事選と同日に県内24市町村で議会議員選挙が行われた。
このなかで当選した女性議員の割合は全体の14%に留まるも、過去最も高くなっている。
なかには米軍基地から派生する環境問題への解決を訴えた3人の子育てに励む母親や、辺野古への移設問題で賛成・反対で2分された地域の分断を乗り越えて、地域福祉の推進、観光振興を掲げた元ホテルの総支配人など経歴も様々だ。
政治不信と叫ばれるなか、「政治は生活」「社会を良くしたい」政治の世界に飛び込んだ女性たちは信念と決意に満ちている。
市民の声を拾い政治に反映させるために、多様な人材が求められている。

③石垣・宮古の海水温が過去40年で最も高温 サンゴの白化現象進む

海水温上昇で沖縄周辺のサンゴ死滅 専門家が危機感

過去40年で最も高くなった海水温 台風相次いで沖縄地方に襲来 離島の農作物が被害 自然環境の変化から感じる地球温暖化

沖縄気象台によると先島諸島周辺の海水温は過去40年間で最も高くなっている。その影響は大きく、先島諸島のサンゴ礁は白化現象が進んでいる。
2016年にも海水温の上昇で石垣島と西表島の間に広がる国内最大のサンゴ礁の海・石西礁湖で全体の5割以上のサンゴが死滅した。

④台風3度襲来 離島のサトウキビは凶作か農家が懸念

台風14号過ぎた南大東島は 農作物被害を懸念

海水温が高さは台風にも影響する。
9月に入り沖縄地方は3度に渡り台風が襲来した。沖縄近海の高い海水温の影響により台風は勢力を強めながら離島を直撃し、サトウキビなど農作物に大きな被害をもたらした。
特に大東島のサトウキビ被害は4億円を超えるなど深刻で、農家は凶作となるのではないかと懸念している。

⑤OISTがイカの養殖システム開発に世界で初めて成功

世界初のイカ養殖技術開発 OISTの研究チーム

いっぽう、水産資源をとりまく環境も変化がみられている。
日本近海で取れる魚は漁獲量が減少していて、なかでもイカは80年代をピークに減少が続き、現在はピーク時の10分の1にまでとなっている。
こうした中、沖縄科学技術大学院大学・OISTでは、これまで困難とされえいたイカの養殖システムの開発に世界で初めて成功。養殖の事業化にむけて技術の特許も申請中で、食料不足の解消・ひいては乱獲を防ぐことで海の環境保全に繋がると期待が注がれている。

⑥訃報 人間国宝の照喜名朝一さん、平良敏子さん死去

芭蕉布の人間国宝 平良敏子さん死去 101歳

琉球古典音楽の人間国宝 照喜名朝一さん(90) 死去 

変わらず守り続けた「沖縄の伝統」2人の人間国宝が逝去 

2022年9月10日、琉球古典音楽の人間国宝・照喜名朝一さん(90)が死去、同年9月13日、「芭蕉布」の復興に尽くした人間国宝の平良敏子さん(101)が亡くなった。
生前2人は後進の育成にも力を尽くし、その人柄から多くの人から尊敬され愛されていた。
それぞれの道で築いてきた偉大な功績は色あせることなく、これからも受け継がれていく。

⑦糸満市営バスで小学生が置き去りに 自力で窓から脱出

救急医「数分で熱中症も」 市営バスに小学生置き去り

⑧安倍元首相の国葬をめぐり世論2分・県内市町村の対応分かれる

元首相の国葬の是非や在り方をめぐり県内でも様々な声

国葬で分かれた行政の対応「国葬に対する説明が曖昧な中、評価を社会全体に押し付け」

時の権力の判断で政策を進める政治の問題点が改めて浮き彫り

国葬を巡り世論を2分 岸田首相は今こそ「聞く力」を

2022年7月に銃撃され亡くなった安倍元首相の国葬をめぐり、世論は「賛成」「反対」で2分されるなかで執り行われた。

国葬の実施にあたり岸田首相は「在任期間・功績・国際的な評価、亡くなられた経緯を総合的に勘案した」と説明した。そもそも国葬令は戦後廃止されている。近年では首相経験者の葬儀は内閣と自民党の合同葬とするのが多かった。
今回、政府は「内閣府設置法」を拠り所に国葬を閣議決定したのだが、国会での議論を経ず拙速だとの批判は免れない。野党・国民からの批判の声を受ける形となり、岸田首相が国葬に関して国会で説明したのは閣議決定から1か月以上後になってからだった。また、当初2億5000万とされた費用は一転して16億6千万円との概算額が示された。

FNNが8月に実施した世論調査では、国葬の実施について「賛成40%」、「反対51%」だったが、9月17日・18日の調査では「賛成31%」、「反対62%」反対の割合が前回の調査よりも高くなっていた。

国葬にあたり、岸田総理は政府として弔意を強制することはしないとしたが、県内41市町村の対応は分かれた。沖縄市・浦添市・石垣市などが半旗を掲げたのに対し、残る30市町村は対応を見送った。

専修大学の山田健太教授は、「国葬という国の正式な儀式として行う一方で、弔意を求めないというのは非常にわかりづらい。ある種チグハグだと言われても致し方ないような政府の対応があるわけですから、そのときに自治体がどうそれに対応するのか、政府の意向をどう考えるのかという非常に難しい判断を迫られた」と指摘する。

国葬をめぐり社会的な分断を生む形となったことについて岸田首相はどのようにみているのか。自らアピールする「聞く力」で市井の声に耳を傾けてもらいたい。

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